提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


麦・大豆

麦編 病害対策 -赤かび病とその他の重要病害-

2010年11月29日

はじめに

 赤かび病は、麦の開花期に赤かび病菌が穂に感染することによって起こる病害です。収量や品質を低下させるだけでなく、人や家畜に対して有害なかび毒を生成するため、適正に防除する必要があります。
 ここでは、赤かび病とその他の重要病害について、説明します。

抵抗性品種の作付け

●作付け品種を選ぶ際には、実需者の評価やニーズも考慮した上で、できる限り赤かび病抵抗性の強い品種を選ぶことが重要です。
●近年では、赤かび病抵抗性の小麦品種として、「トワイズミ」などが育成されています。

防除効果の高い薬剤の選択と適期防除

「効果の高い薬剤の選択」 
●品種の抵抗性だけでは、赤かび病を抑えるのに不十分であるため、薬剤による防除が必要です。
●小麦での試験から、かび毒汚染を低減する効果の高い薬剤成分として、チオファネートメチル、テブコナゾール、メトコナゾールが挙げられ、トップジンM剤、シルバキュア剤、ワークアップ剤などがそれらの成分を含みます。
●近年、効果の高い薬剤の開発・登録も進められているため、常に新しい情報を得て、薬剤を選ぶことが必要です。


小麦の赤かび病

「適期防除」 
●1回目の防除適期は、小麦と六条大麦は開花期、二条大麦は穂揃い期の10日後頃です。
●気象条件や品種の赤かび病抵抗性程度などを考慮して、必要に応じて追加の防除を行います。
●2回目以降の防除では、薬剤耐性菌の発生を防ぐために、1回目の防除とは異なる種類の薬剤を用います。

赤かび病被害麦の選別の徹底

「被害麦の特徴と選別」
●赤かび病の被害を受け、かび毒に汚染された小麦粒は、全体が白変し表面がしわになります。


小麦の赤かび病被害粒(右)と健全粒(左)

●被害粒は、粒厚が薄くなっていたり、比重が軽くなっていることが多いので、粒厚選別や比重選別をすることで、かび毒汚染を減らすことができます。
●共同乾燥調製施設の荷受け時には、赤かび病被害粒のチェックを行いましょう。

「その他の注意事項」
●赤かび病菌が感染した麦は、倒伏するとかび毒濃度が高くなりやすいため、適切な肥培管理を行って、倒伏しないように注意します。
●収穫が遅れると、かび毒濃度が高くなる傾向があるので、地域の普及指導センターや農業団体等からの情報に注意し、適期収穫に努めるようにします。
●より詳しい内容ついては、「麦類のかび毒汚染低減のための生産工程管理マニュアル」をご覧ください。地域ごとの奨励品種などの抵抗性、かび毒汚染を低減するために有効な技術などがまとめられています。

「麦類のかび毒汚染低減のための生産工程管理マニュアル」こちらから

赤かび病以外の重要病害

●赤かび病以外の重要な麦の病害には、「うどんこ病」や「赤さび病」「縞萎縮病」などが挙げられます。
●これら病害への対策は、抵抗性品種の利用と薬剤防除が最も重要です。
●うどんこ病と赤さび病には、赤かび病防除に用いる多くの薬剤が同時に防除効果を示しますので、赤かび病の適切な防除によって、これらの病害による被害も減らすことができます。


 :小麦のうどんこ病 /  :小麦の赤さび病 (提供 :2枚とも 九州沖縄農業研究センター 藤田雅也)
 
●縞萎縮病の被害対策には、反転耕起、播種量の増加、晩播、麦種転換なども効果があります。


小麦の縞萎縮病 (提供 :九州沖縄農業研究センター 八田浩一)

執筆者 
久保堅司
農研機構 九州沖縄農業研究センター赤かび病研究チーム
(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)

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