大豆編 播種前の作業Ⅰ 水田の排水性確保
2009年05月29日
はじめに
●水田の排水性は、圃場整備事業などの「土木技術」と、農家が営農的に行う「営農排水技術」によって、改善されます。
●排水を良くすることで、適期耕うん作業や播種精度を高め、発芽苗立ちを安定させます。
●生育期間中の湿害を抑制することができます。
土木技術による排水性の確保
「排水施設の維持管理」
●適期の農作業や作物の排水管理を正しく、楽に行うため、水田には、排水路や圃場の水尻の落水口、暗渠が作られます。
●排水施設の効果を持続させるには、日頃の維持管理が大切です。
「維持管理のポイント」
<排水路>
●草が伸び、泥がたまると、排水路からの排水の障害になります。
●土地改良区などと協力して、定期的に草刈りや泥上げをします。
●田んぼの水尻の落水口に貯まった泥や草は、取り除きます。
<暗渠>
●暗渠は、田んぼの地表面の残水や過剰な地下水を、排除します。
●暗渠出口が泥に埋まらないよう、定期的に暗渠の掃除をします。
●配置の仕方で、暗渠掃除の方法は異なります。
●1本ずつ真っ直ぐな暗渠の場合、動力噴霧器に逆噴射型ノズルをつけて、暗渠出口から暗渠に挿入し、水で管の中の掃除をします。
●数本の暗渠をまとめて一個所の出口から排水する場合、暗渠排水口の水こうを閉めて暗渠内に水を貯め、水こうを一気に開けることで、管の中を掃除します。
営農排水技術による排水性の確保
●営農排水技術を上手に使って、田んぼの排水機能を良くすることができます。
「地表からの排水」
●田んぼに降った雨は、地表からすみやかに排水させます。
●冬期間に降水量が多い場合(例:日本海側)、稲刈り後に簡易な溝切り機で、深さ約10cm、幅約10cm、間隔5~10m程度の、溝を切ります。
●大豆の栽培前に、地表からの排水をスムースに行えるように、畦畔に沿って排水溝(明渠)を掘ります。
●排水溝は20~30cmの深さとし、確実に落水口に繋ぎます。
●落水口が排水溝よりも高い場合には、落水口を掘るなどして低くします。
●区画が大きい場合や、粘土質土壌で排水条件が悪い圃場では、畦畔沿いの排水溝だけでなく、圃場内にも適宜、排水溝を掘ります。
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左 :簡易な排水溝の施工 / 右 :水稲収穫後の簡易な排水溝
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畦畔に沿った排水溝の施工
「地下からの排水」
●降雨によって地下に浸透した水や地表面の残水は、地下からも排水する必要があります。
●弾丸暗渠、心土破砕などの方法が一般的です。
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弾丸暗渠と心土破砕
<弾丸暗渠と心土破砕>
●弾丸暗渠は、弾丸の形をしたモールドレーナをトラクタに付け、引っ張ることによって、土中に水が流れる孔を作ります。
●心土破砕は、耕盤などの緻密な層を破壊して、膨軟にします。心土破砕には、サブソイラやパンブレーカが用いられます。
●最近は、サブソイラに弾丸を付けて、心土破砕と弾丸暗渠の施工を同時に行います。
右 :サブソイラによる弾丸暗渠施工
●既存の暗渠がない場合、弾丸暗渠は比較的浅く、深さ20~25cmに施工し、地表の排水溝につなぎます。
●このとき、地表排水の溝の深さは、弾丸暗渠の位置よりも深く施工します。
●既存の暗渠がある場合、弾丸暗渠や心土破砕の水は、暗渠から排水します。
●このとき、弾丸暗渠や心土破砕の深さは、暗渠の疎水材籾殻層と確実に交わる深さにします。
●一般的には、約30cm程度の深さです。
●暗渠疎水材の籾殻が腐ったり、沈下によって、籾殻層の位置が深くなっていることがありますが、その場合、より深く施工して、籾殻層とつなげます。
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暗渠断面と弾丸暗渠施工位置
●弾丸暗渠や心土破砕の間隔は、2~5m間隔で行います。
●粘土質土壌で排水が悪い圃場ほど、短い間隔で行います。
●毎年、継続して行うことが大切です。
●籾殻の充填や、振動しながら弾丸暗渠や心土破砕を施工する機械などが、製品化されています。
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左 :パワーソイラー / 右 :弾丸
●既存の暗渠に直交して、深さ30~40cmで溝切り機やトレンチャーで溝を切り、籾殻を十分踏み固めながら作土直下まで入れます。
右 :モミサブローによる簡易暗渠施工 (提供 :千葉県長生農林振興センター振興普及部改良普及課)
●暗渠管は用いません。
●暗渠の疎水材籾殻層と、掘削した直交部分が、繋がるように設置します。
●繋がっていない場合、暗渠の籾殻層に繋がるように穴を掘り、籾殻を入れます。
●20m間隔で施工し、効果が悪ければ、次回に、その中間に施工します。
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左 :モミサブローの後部 / 右 : 深さ20~40㎝にもみ殻充填
(提供 :千葉県長生農林振興センター振興普及部改良普及課 )
足立一日出
農研機構 中央農業総合研究センター 北陸水田輪作研究チーム
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