提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


麦・大豆

麦編【5】 麦の赤かび病の防除と実肥

2008年3月13日

 4月に入ると間もなく麦は穂を出し始め、やがて開花、受精します。

 出穂から開花・受精期にかけて気温、湿度が高いと赤かび病が発生し、甚大な被害をもたらします。また、この時期は小麦粒の蛋白質含有率を高める実肥の時期です。赤かび病の防除と実肥施用により、高品質の麦生産が可能になります。


1.赤かび病の防除・・・適正な防除で発病を抑え、粒の健全な発育を図る

(1)小麦は出穂後10日頃に、大麦・裸麦は出穂後数日で開花・受精します(ビール大麦等の二条大麦は出穂後間もなく開花しないで受精(閉花受精)す)。
(2)開花すると赤かび病菌の胞子が葯にとりつき、花粉を栄養源にして菌糸が生育し、頴内部に広がっていきます。二条大麦が比較的抵抗性が強いのは閉花受精するためです。
(3)赤かび病は、1回の薬剤散布では完全に抑えることが難しく、2回実施することが基本です。第1回の防除は開花始めから開花期に、第2回の防除はその7日後に実施しますが、2回目の薬剤は1回目と違う薬剤を用います。薬剤の種類や散布方法等については、県等の指導指針に従ってください。
(4)農産物規格規定では、赤かび病被害粒の混入が0.0%(正確には0.05%)以上は規格外になりますので、徹底した防除が肝心です。


(写真:小麦の赤かび病、出所:九州沖縄農業研究センターホームぺージ)
小麦の赤かび病


2.実肥・・・小麦粒の適正な蛋白質含有率を確保する

(1)小麦の品質を評価するランク区分では、めん用の蛋白質含有率の基準値は9.7~11.3%、パン・中華めん用の基準値は11.5~14.0%ですが、西日本地域等の田麦ではこれより低くなる傾向があります。
(2)蛋白質含有率を高めるには、出穂後10日頃に実肥としての窒素施用が効果的です。
(3)10a当たり1kgの窒素を施用することで、蛋白質含有率は約0.5%増加します。
(4)実肥量は、小麦の生育の良否によってを加減し、穂数が平年より多い場合は10~20%程度増量し、少ない場合は減量します。


(写真:ハイクリブームスプレイヤによる効率的な赤かび病防除)
ハイクリブームスプレイヤによる効率的な赤かび病防除

執筆者
田谷省三
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 フェロー

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※代表的な赤かび病防除剤には、以下のようなものがあります。

 ● シルバキュアフロアブル (バイエルクロップサイエンス株式会社)
 ● トップジンM水和剤・粉剤DL・ゾル (日本曹達株式会社)
 ● ベフラン液剤25 (日本曹達株式会社)
 ● ベフトップジンフロアブル (日本曹達株式会社) 


◆麦編
 ●【1】 麦作のための土作りと播種前の準備作業
 ●【2】 麦の播種と基肥 
 ●【3】 麦の踏圧(麦踏み)と追肥・土入れ
 ●【4】 麦の追肥(穂肥)と土入れ
 ●【6】 麦の収穫・乾燥・調製


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