提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


果菜類

在来品種の紹介【トウガラシ編】

2016年11月11日

在来品種が見直されています

 国産農産物の見直しは年々高まっています。そうした中で、各地に受け継がれている伝統野菜が、いま人気です。
 ここでは、在来品種として日本各地で栽培される「トウガラシ」を取り上げ、それぞれ特徴ある由来や栽培方法、食べ方、産地の動向などを紹介します。

清水森ナンバ


201609dento_shimizumori_02.jpg
清水森ナンバ (青森県弘前市)

●特徴と由来
 清水森ナンバは、津軽藩の初代藩主・津軽為信(ためのぶ)公が京都から持ち帰って広めたのが栽培の始まりと伝えられています。400年以上の歴史をもつ在来種のトウガラシ「弘前在来」で、弘前市の清水森地区で栽培が盛んだったことが名前の由来となっています。
 形状は大ぶりで、肩が張り、長さが20cm以上となるものもあります。国内の他の品種と比較して、糖分やビタミンA、C、Eの含有率が高く、ほどよい辛さと独特の風味をもっています。

▼その他の詳しい内容はこちらから

ぼたんこしょう


201609dento_botan_01.jpg
ぼたんこしょう (長野県中野市永江地区)

●由来と特徴
 「ぼたんこしょう」は、ナス科トウガラシ属のピーマン型トウガラシで、ピーマンよりも高い抗酸化活性を持ち、辛み成分のカプサイシン、ビタミンA、Cの他、豊富なミネラルやポリフェノール、ギャバが含まれています。
 肉厚な果実の先端周辺には深い溝があり、複雑な形状が牡丹の花のように見えることから「ぼたんこしょう」と呼ばれるようになりました。
 冷涼な気候を好み、標高800m以上の地域でないと辛くならず、また大きくもなりません。 トウガラシのような辛さと、ピーマンのように果肉に甘みを持ち合わせているのが特徴です。

▼その他の詳しい内容はこちらから

山古志かぐらなんばん


201609dento_yamakohi_01.jpg
山古志かぐらなんばん(新潟県)

●由来と特徴
 カグラナンバンは、新潟県の中越、上越地域で栽培されるトウガラシです。ここでは、長岡市山古志地域で栽培されているカグラナンバンについて紹介します。
(1)形態
 形はベル型で、ピーマンを上下に押しつぶしたような形をしています。果肉はピーマンより厚くてパプリカに近く、タテにしわの寄ったゴツゴツとした形をしており、その形が"神楽面"に似ていることから「かぐら」の名が付いたと言われています。
 果肉自体はそれほど辛くなく、通称スジとワタ(隔壁と胎座および種子)に辛みがあります。果肉のほのかな甘みとワタのさわやかな辛みが特長です。
(2)「山古志かぐらなんばん」
 いつ山古志地域に導入されたかは不明ですが、100年以上も前から栽培されています。
 中越大震災の際には種子も一緒に持ち出され、仮設住宅でも栽培が続けられました。

▼その他の詳しい内容はこちらから

万願寺とうがらし


201609dento_manganji_01.jpg
万願寺とうがらし(京都府)

●由来と特徴
 京の伝統野菜をはじめとする京野菜のなかでも、トウガラシは夏を代表する京野菜です。京都には、万願寺とうがらしや伏見とうがらし、鷹ヶ峯とうがらし、田中とうがらし等の特徴ある多くの在来トウガラシがありますが、中でも万願寺とうがらしは、もっとも盛んに生産されています。

▼その他の詳しい内容はこちらから

ひもとうがらし


201609dento_himo_01.jpg
ひもとうがらし(奈良県)

●由来と特徴
 奈良県では、古くから県内で生産が確認されており、地域の歴史・文化を受け継いだ独特の栽培方法等により、「味、香り、形態、来歴」などに特徴を持つ野菜を「大和の伝統野菜」として認定しています。
 ここで紹介するひもとうがらしは「大和の伝統野菜」のひとつで、伏見群に属する辛トウガラシとシシトウとの雑種から選抜されたと推察されています。県内で栽培されているものには複数の系統が存在します。収穫果実は、太さが直径5mm程度、長さが10~15cm程度です。また、濃緑色で皮が柔らかく甘みがあるのが特徴です。 

▼その他の詳しい内容はこちらから

三宝甘長とうがらし


201609dento_amanaga_04.jpg
三宝甘長とうがらし(鳥取県)

●由来と特徴
「三宝(さんぽう)甘長トウガラシ」は、長さ17~20cm、重さ35~40gになる大型のトウガラシです。果肉が肉厚で柔らかく、甘く、苦みがないためピーマンの苦手な子どもでも食べられます。
 また、他の品種で発生する辛み果の発生もないため、料理でも広く活用されています。 由来は、昭和の初期に東南アジアから持ち帰られたものを、鳥取市吉岡村の篤農家が選抜育種したものを「三宝大甘長蕃椒」(さんぽうおおあまながばんしょう)と名付け、栽培が広まったと言われています。
 鳥取県東部のいなば地方(鳥取市、八頭郡)のみで栽培されている地方在来品種です。

▼その他の詳しい内容はこちらから

あじめコショウ


201609dento_ajime_01.jpg
あじめコショウ(岐阜県)

●由来と特徴
 「あじめコショウ」は岐阜県中津川市福岡地区で、約400年前から栽培される野菜です。コショウと名が付いていますが、この地域ではトウガラシをコショウと呼んでいて、トウガラシの一種です。一方、「あじめ」については諸説ありますが、地域内を流れる付知川に生息するアジメドジョウに外観形状が似ていることから、アジメドジョウに似たコショウ(トウガラシ)として、「あじめコショウ」と呼ばれるようになりました。
 本種の特徴として、一般的なトウガラシに比較して3~5倍という辛さが挙げられます。この辛さは風味と表現できる食味品質であり、これに魅了されて愛好家組織「好辛倶楽部」には、200名以上の会員が集うこととなりました。なお、「あじめコショウ」は、品質面の特徴と栽培の歴史をもとに、岐阜県の飛騨・美濃伝統野菜認証を受け、青果から加工品までさまざまな用途で生産出荷されています。

▼その他の詳しい内容はこちらから

剣崎なんば


201609dento_kensaki_01.jpg
剣崎なんば(石川県)

●由来と特徴
 「剣崎(けんざき)なんば」は、藩政時代から栽培されている在来のトウガラシ品種で、石川県金沢市の南西に位置する白山市剣崎町において、明治末期から昭和30年頃を中心に広く栽培されてきました。その後徐々に減少し、一時は自家用程度となりましたが、地元JAによる平成2年の転作作物掘り起こし運動を契機に、再び生産振興が行われるようになりました。
 果実は一般的なトウガラシと比べ細長く、12~15cm程の長さがあり、蝋引きしたような艶のある赤色です。真っ赤に熟れた果実は、全国でも有数の激辛トウガラシとして地元種苗会社が太鼓判を押すほどの逸品で、辛さの中にもまろやかな甘みが残るため、調味料や漬け物の辛み付けなどに適しています。

▼その他の詳しい内容はこちらから

香川本鷹


201609dento_kagawa_01.jpg
香川本鷹(香川県)

●由来と特徴
 地元では豊臣秀吉からの拝領品であるとの言い伝えがあるトウガラシで、七味の老舗「やげん堀中島商店」(東京)には、江戸初期に讃岐の国からトウガラシを仕入れていたという記録が残っています。さらに平賀源内の著書「蕃椒譜(ばんしょうふ)」には、香川本鷹の特性に類似する上向きの結実をして、果実の長さが5寸近くになる「本高」の品種名と果形のスケッチが残されています。品種名としての公式な記録は、昭和29年発行の園芸学会誌に鷹の爪群の大果系品種として香川本鷹が分類されています。
 果実の長さが12cmほどになり、果実が上向きに着果するのが特徴です。草姿は節間が長く草丈が大きくなる特性があります。信州大学松島教授の遺伝子解析においても、類似品種グループ内で唯一上向き着果をする品種として報告があります。

▼その他の詳しい内容はこちらから

杉谷とうがらし


201609dento_sugitani_01.jpg
杉谷とうがらし(滋賀県)

●由来と特徴
 杉谷とうがらしは、滋賀県甲賀市甲南町杉谷地区で明治時代以前から栽培されてきた伝統野菜です。
 果実の形はシシトウに似ていますが、他のトウガラシと比べて果皮が薄く、収穫を迎える頃には9割以上の果実が先づまりし、先の曲がった形状となります。
 しかし、その特徴が市場出荷には向かず、長い間、杉谷地区の家庭や一部の料亭でしか食べられることはありませんでした。

▼その他の詳しい内容はこちらから