提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


果菜類

キュウリの施設栽培の作業のポイント

2013年7月12日

圃場準備

「土壌消毒」
●前作でネコブセンチュウが発生した圃場は、土壌消毒剤(D-D)または殺センチュウ粒剤(ホスチアゼート粒剤)を施用します。

「土づくり」
●定植の一カ月前に土壌診断を行い、診断結果に基づき堆肥、土壌改良材を施用し、深耕しておきます。

「施肥」
●土壌診断結果を参考に、堆肥からの養分を考慮して施肥量を決め、定植7~15日前に施用をすませます。

「かん水・ベット作り(地温の確保対策)」
●ベット作りの前に十分かん水しておきます。
●定植1週間前までにベットを作り、マルチをします。
●定植2日前から暖房機を稼動し、定植時の地温18℃以上を確保します。

育苗・接木

「播種期」
●11月上~下旬に播種します。台木は穂木の1~2日後にまきます。

「接ぎ木」
●呼び接ぎとし、キュウリ播種後8~10日目に本葉が米粒大になったら作業をします。

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呼び接ぎ直後のキュウリ苗

「断根、鉢ずらし」
●接ぎ木後7日目でキュウリの軸を切り離し、葉が重ならないように鉢を広げます。

「苗の馴化」
●定植の5~6日前から室温をやや下げ、かん水も控えて苗を馴化します。

「購入苗の場合」
●到着した苗はハウス内で直ちに箱から出し、鉢かん水を行います。
●栽培環境に慣らしてから定植します。

定植

●12月上旬~下旬に、晴天日を選んで、本葉3~3.5枚程度の苗を植え付けます。
●栽植密度は、1条植えで3.3㎡当たり3.5~4本前後とします。
(例)
 6m間口 条間180cm×株間45~50cm
 4m間口 条間160cm×株間50~55cm
●定植直後に株元かん水し、根鉢を安定させます。

定植後の管理

「定植から活着(本葉8~9枚)まで」
●活着を促すため、土壌水分・湿度・地温・気温とも十分に確保します。
●日中は28~30℃、夜温は17~18℃で管理します。
●湿度不足は、しおれや高温障害をおこすので、カ-テン操作と通路散水で湿度を補います。
●株元かん水は、20~30℃の温水で毎日行うと、活着がスムーズです。

「活着(本葉8~9枚)から本葉12~13枚まで」
 ●主枝心部が勢いよく伸びていることを確認したら、株をつり上げます。
 ●活着後は、かん水を徐々に減らして根を深く張らせ、午前中は28~30℃、午後は換気をして20~25℃でじっくりと生育させ、節間伸長を見ながら夜温を徐々に下げていきます。

「本葉12~13枚から果実肥大」
●下位側枝は5節まで、またはベットから高さ30cm以内は摘除します。
●主枝雌花は8節まで摘除します。
●草勢が弱い場合、思い切って多めに摘除します。初期の草勢をつけ、生育を軌道修正できる最終段階となります。
 ○生殖生長型・・・・摘果、かん水、追肥、午前中の湿度を上げる、弱く摘心します。
 ○栄養生長型・・・・水を控える、やや強目の摘心をします。

「主枝の摘心」
●ベット上140~150cm程度で摘心します。

「追肥」
●下位側枝の果実肥大が始まったら、追肥を行います。

収穫期の温度管理

【晴天日の管理】
「午前」
●25℃になったらカーテンを20~30cm開け、しばらく時間をおいて全開にし、その後は30℃前後で管理します。

「午後」
●換気を強め22~24℃で管理します。
●17~18℃で天窓を閉め、暖房機が回ったらカーテンを閉めます。
●天窓やカーテンを閉めてからの気温の再上昇は病害発生と軟弱徒長につながるので、注意が必要です。

「夜間」
●13~14℃で管理します。

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生育中のキュウリ

【曇雨天日の管理】
「午前」
●暖房機を20℃に設定しカーテンを閉め、地温の低下や病害の発生を防ぎます。

「午後」
●カーテンを徐々に開け、光合成産物が少ないので14~15℃で管理します。

「夜間」
●晴天日の管理より0.5~1℃下げます。

収穫開始以降の管理

「摘葉」
●下位節の孫づるが伸び、混み合ってきたら、古葉や日陰葉を摘み、光がよく当たるようにします。
●1回1株当たり1~3枚程度とし、反対の通路が見える程度が目安です。

「摘心」
●草勢を維持するため、一斉摘心を避け、常に3~4本の生長点を残すような整枝をします。

「かん水」
●少量多回数が基本。
●収穫期に入ったら草勢や果形に注意しながら回数を増やしていきます。

「追肥」
●液肥は、かん水を兼ねて1回あたり窒素成分0.5~1kg/10a施用します。

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病害虫防除

「土壌病害虫」
●ネコブセンチュウ、ホモプシス根腐病は太陽熱土壌消毒や土壌還元消毒、または薬剤による土壌消毒を行います。

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土壌還元消毒の処理圃場

「黄化えそ病・退緑黄化病」
●ミナミキイロアザミウマ、タバココナジラミが媒介するウイルス病です。
●防虫ネットや粘着板の設置を徹底し、発病株は見つけ次第抜き取り処分します。

「うどんこ病」
●乾燥条件で発病しやすく過繁茂になると助長されるので、かん水・摘葉・整枝等の管理が遅れないことが大切です。

「べと病」
●葉の濡れた状態が続くと発病します。
●排水を良好にし、肥切れ、株づかれさせないようにします。
●湿度の低下に努めます。

「褐斑病」
●窒素過多を避け、ハウス内の換気を良くし、高温多湿にならないようにします。
●密閉時に循環扇、暖房機の送風運転で空気を循環させることが大切です。

「アブラムシ類・アザミウマ類・コナジラミ類」
●定植時に土壌に殺虫粒剤を施用し初期防除します。
●また換気部を防虫ネットで被覆し、侵入を防ぎます。

「ハダニ類」
●同一系統薬剤の連用で抵抗性がつきやすいため、早期発見、早期防除が必要です。

【天敵製剤を利用した害虫防除】
 近年「黄化えそ病」や「退緑黄化病」などのウイルス病が問題になっています。
 これらのウイルス病は「ミナミキイロアザミウマ」「タバココナジラミ」によって媒介されますが、増殖が速く薬剤も効きにくいため、防除が難しくなっており、化学的防除に生物的防除や物理的防除を組み合わせたIPM(総合的病害虫管理)技術の確立が求められています。

 群馬県では平成21年度から検討を始めましたが、現在少しずつ成果が見られ、利用面積も増加傾向にあります。(天敵製剤:スワルスキー、赤色ネット(試験段階)の組合せ)
 その他の作物では、施設ナスで「スワスルキー、スパイカルEX」や、施設イチゴで「スパイカルEX」の利用による防除体系が取り組まれています。

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キュウリにおける赤色ネット展張実証

生理障害

●肩こけ果は地温低下で発生しやすく、曲がり果・尻太果は果実肥大に十分な同化産物が供給されないと発生します。
●温度管理やかん水等、環境条件によることが多いので、適正な管理が必要です。

収穫

●出荷規格Sを中心に収穫します。
●10a当たりの目標収量は、15,000~18,000kgです。

執筆者
群馬県農政部技術支援課普及指導室
栁澤幸雄

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