提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


野菜

アスパラガスの施設栽培の作業体系

2017年1月13日

育苗

・10a当たりの必要苗数は2,000本程度ですが、発芽や初期生育に個体間差があるので、2割増しで育苗を行います。
・定植時期は、管理のしやすさから、多くの場合春植えとします。
・育苗期間は約90日なので、定植予定日に合わせて播種します。
・種子を4~5日水に浸して十分吸水させた後、27~28℃の恒温器に2~3日置き、催芽を確認してから育苗箱にばら播きします。
・管理温度は、昼間30℃以上にならないよう注意し、夜間は5℃以上を確保します。
・展葉を始めたら根を傷めないよう注意して、9cmポットに移植します。

圃場準備

・定植後は10年以上植え替えを行わないので、事前の排水対策や土壌改良を十分に行います。
・排水対策のため、圃場には有材暗渠を整備し、サブソイラーを施工します。
・大雨時の雨水侵入を防ぐため、周辺の土壌を削り取り、ハウス内へ入れてかさ上げします。
・土壌の通気性や透水性を向上させるため、牛糞堆肥を10a当たり30~60t投入します。
・耕起は地表から20~40cmを目安として、堆肥量が多いほど深く耕します。
・ハウスは6m間口の単棟パイプハウスとし、サイドや妻面の換気ができるようにします。
・ハウス長は、灌水圧やサイド巻き上げを考慮すると、50m程度が適当です。

定植

・排水促進のため、畦は通路より30cm以上高畦とします。
・基本的な栽植様式は、1棟当たり3畦とし、畦幅80cm、株間25cmの1条植えで約2,000本/10aとします。
・株が若いうちの収量を上げるには、4畦として栽植本数を約2,600本/10aに増やします。
・活着を良くするため、定植前日に軽く畦散水を行い、定植当日はポット内の培土を湿らせて土を崩れにくくします。
・植付けの深さは、ポットの根鉢を少し埋める程度とします。

支柱立て・ネット張り

・アスパラガスの地上部は倒伏しやすいので、支柱とネットを設置して茎葉を支持します。
・支柱には、強度が高く、年数経過による劣化が少ない直管パイプを用い、畦の両端に1.5~2m間隔で立てます。
・ネットは太糸のフラワーネットを使用し、上下2段に張ります。
・下段は20cmの3目を60cmの高さに、上段は30cmの2目を100cmの高さに設置します。
・1年目の草丈が低いうちはネットの高さを下げておき、生育に合わせて徐々に上げていきます。

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支柱とネットの設置方法(左)と定植後の状況(右)

1年目の管理

・気温が35℃を越えると伸長が鈍り、38℃を越えると高温障害が発生しますので、できるだけ外気温に近づけるため、ハウスのサイド及び妻面等の開放を行います。
・1年目は根域が浅く、十分な湿度がないと葉やけや根傷みを起こしやすいので、畦の表面が乾かないように十分灌水します。
・新しい茎が随時出てくるので、定植時からの古い茎は倒伏してから徐々に切り取ります。
・ひどく込み合うようであれば、細い茎から適時整理します。
・株張りが直径10cm程度で、たばこの太さくらいの茎が7~8本確保できたら、それ以降の茎は収穫することができます。
・1年生株は休眠が浅く、翌年の萌芽開始が早いので、高単価時期の出荷を逃さないよう、刈取りから保温開始までの作業は早めに行います。
・収穫1年目の株は、貯蔵養分が十分ではないので、収穫期間は30~40日とします。

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サイド開放による換気(左)と妻面開放による換気(右)

2年目以降の管理

・おおよその管理の流れは、1月が刈取り・保温、2~3月が春芽収穫、4~5月が立茎、6~10月が夏芽収穫、11~12月が養分転流です。
・春芽の収穫を長く行うと、充実した親茎を立茎できず夏芽が減収するので、収穫期間は45~50日とします。
・立茎する茎の太さはM~L(20g前後、1.5cmm径程度)のものとし、茎同士が10cm程度離れるように配置し、株あたり3~4本とします。
・茎は120cm程度で摘芯し、過繁茂にならないよう、7月までの腋芽は7~8割除去します。
・夏場の高温で葉やけや異常茎等の障害が発生しないように、妻面やサイドの開放による換気を行うとともに、遮光資材による被覆を行います。
・収穫物の増加で株が消耗しないように、収穫量に応じて1カ月おきに追肥を行い、少量多灌水で適度な土壌水分の保持を行います。
・収穫は10月までですが、貯蔵根への養分転流を促すため、11月以降も土壌が乾燥しないように灌水を継続します。
・地上部の刈取りは、葉が完全に黄化してから行います。

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萌芽状況。春芽(左)と夏芽(右)

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立茎後の親茎(左)と刈取り前の黄化した親茎(右)

病害虫防除

・病害では茎枯病、褐斑病、斑点病、害虫ではハダニ、スリップス、ヨトウ類が発生します。
・対策として、ハウス内の通風促進、定期的な予防防除、被害茎の早期除去、刈取り後の残渣持ち出し、保温前圃場のバーナー焼却処理などを行います。
・斑点病ではUVAフィルムの被覆、ヨトウ類では交信攪乱フェロモン剤や防虫ネットも有効です。

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茎枯れ病の病斑(左)と枯れた茎(右)

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左 :ハダニの大量発生による被害
右 :バーナー焼却による病害虫防除

収穫

・若茎が26~27cmに伸びたものから収穫用のハサミで切って収穫します。
・穂先の開きや長さ調整時の切り下を少なくするため、収穫は朝夕2回行います。
・収穫後は切り口がしっかり水の浸かるようにコンテナに立てて保管します。
・収穫時には25cm長に切り揃え、重量によって2S(5~7g)~2L(50g以上)の規格に分けて出荷します。
・品質面では、穂先の開き、曲り、着色、傷、鮮度などが評価されます。

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選果場における収穫物の選別(左)と出荷前の収穫物(右)

執筆者
佐賀県農業技術防除センター 専門技術部
中島寿亀

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