提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


野菜

伝統野菜の品種紹介 【ナス編】

2014年6月17日

在来品種が見直されています

 国産農産物の見直しは年々高まっています。
 そうした中で、各地に受け継がれている伝統野菜が、いま人気です。
 ここでは在来品種として日本各地で栽培されるナスを取り上げ、それぞれ特徴ある由来や栽培方法、食べ方などを紹介します。

薄皮丸なす


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薄皮丸なす (山形県置賜地域)

●特徴と由来
 「薄皮丸なす」は、山形県南部の置賜地域で栽培されている丸ナスです。形状は丸~やや卵型、皮が薄く柔らかいのが特長で、20〜30g程度で収穫され、主に漬物に用いられます。

 その由来は明らかではありませんが、50年以上前に宮内町(現南陽市宮内) の沖田与太郎氏が新潟から来た行商人から種子を入手し、そこから収量および品質に優れるものを選抜したのが始まりとされています。そのため地域に出回った当初は「沖田なす」と呼ばれていましたが、「薄皮なす」「薄皮丸なす」と、次第に名称が変化してきたと言われています。

 この他にも在来ナスである「窪田なす」から皮の柔らかいものを選抜したという説もあります。いずれにしろ置賜地域における薄皮丸なすの人気は根強く、種苗会社育成による丸ナス品種が出回るようになった現在も広く栽培、消費され、ナスといえばこの品種を思い浮かべる人が多いようです。

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賀茂なす


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賀茂なす (京都市・亀岡市・綾部市・京丹後市)
(画像提供 (公社)京のふるさと産品協会)

●特徴と由来
 賀茂なすは表面の光沢が美しく、へたの下が白い、大型の丸ナスです。へたが3つに分かれ三角形になった「三へた」のものが良いとされています。また、実がしまり、ずっしりとした重みが特徴で、煮炊きしても煮くずれせず、ナスの女王ともいえる風格と味わいを持つ京の逸品です。
 栽培の起源は、「雍州府志(ようしゅうふし)」(1684年)に丸くて大きいナスが栽培されていた記述が残されており、その頃すでに栽培されていたことを読み取ることができます。栽培当初は、現在の京都市左京区あたりで栽培されていたようで、その後、京都市北区上賀茂、西賀茂およびその周辺で栽培されるようになり、主産地であった上賀茂・西賀茂の地名が名前の由来となっています。

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佐土原ナス


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佐土原ナス (宮崎県宮崎市)

●特徴と由来
 ナスは、古くから日本で栽培され、地域性の豊かな野菜の1つです。佐土原(さどわら)ナスもその中の1つで、江戸時代に佐土原藩(現在の宮崎市佐土原町・西都市・新富町)で盛んに栽培されていたためこの名前がつけられたと言われています。

 佐土原ナスは長ナスで、果色が薄い紫色です。夏期には、さらに薄い紫色になる上に形の揃いが悪いため、外見重視の消費者ニーズに合わず、昭和55年ごろに一度市場等から姿を消した経緯があります。
 地元の種苗店から委託され佐土原ナスの種子を保管していた宮崎県総合農業試験場が、宮崎市の農家・外山晴英氏に試験栽培の話を持ちかけました。外山晴英氏は平成14年に栽培を行いました。しかし、半数は実が太らず、出荷ができませんでしたが、出荷できた残り半分を直売所で販売したところ「おいしい」と評判になりました。そこで、地元の農家仲間に声をかけて栽培面積を少しずつ拡大し、平成17年には「佐土原ナス研究会」を設立し、現在、宮崎市を中心に約1.3haで栽培が行われています。

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泉州水なす


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泉州水なす (大阪府泉南地区)

●特徴と由来
 大阪産(もん)(※) といえば、泉州水なすをイメージする方が多いように、泉州水なすの歴史は古く、室町時代に書かれた教科書の1つである「庭訓往来(ていきんおうらい)」にも、貝塚市の澤(さわ)地区が水ナスの発祥と紹介されています。
 泉州水なすは、大阪府の南部、泉南地区で生産、消費されていた在来品種で、夏に畑で農作業をしていて、喉が渇いた時には、このナスを食べ、喉の渇きを潤したといわれるほどみずみずしさがあります。

 従来の泉州水なすの果皮は淡赤紫色でしたが、糠漬けにすると褐色に変化するため、味は素晴らしかったものの商品性では劣り、昭和の初めにデパートで試験販売した際には、あまり売れませんでした。
 その後、糠漬けにしても果皮が褐色に変化しにくい濃紫色の絹茄子の系統が栽培の主流となり、見た目も良いことから東京でも評判を得て、平成に入り人気が出てきました。

大阪産(もん)とは
大阪府では、府内で栽培・生産される農産物、畜産物、林産物、大阪湾で採取され大阪府内の港に水揚げされる魚介類、大阪府域の内水面で生産・採取される魚介類とそれらを原材料にした加工食品を「大阪産(もん)」として、一体的にPRし、ブランド化を図っている。


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田屋なす・萩たまげなす


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田屋なす・萩たまげなす(山口県萩市・長門市)

●特徴と由来
 「田屋なす」は、山口県長門市の田屋地域で昭和初期から40年代にかけて栽培されていたナスである。昭和50年代に萩市の農家に種子が渡り、わずか2~3戸が自家採種により栽培を続けてきました。
 平成11年頃から、地元のJA・市・農林事務所および生産者が生産振興に取り組んだ結果、平成15年に萩市と長門市で生産部会が設立されました。大型の果実特性を生かし、500g以上の果実を「萩たまげなす」として商品化しています。
 1番果は600~700g、2番果でも500~600gと大果系のナスです。適期収穫すれば果皮色は濃く、柔らかく、種子はほとんど目立ちませんが、収穫が遅れて花落ち部の色が抜けるに従い、果皮や種子が硬化していきます。耐暑性に劣り、平均気温26℃を超える頃に果実肥大が極端に鈍くなります。
 一般のナスと比較して、加熱することにより多くのペクチンが可溶化し「とろり感」が増すとともに、遊離糖量が多く甘味を多く感じることから、食味評価が極めて高くなっています。

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ていざなす


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ていざなす (長野県下伊那郡天龍村)

●特徴と由来
 「ていざなす」は、米ナス系の巨大ナスで長さは25cm~30cm、重さは400g~600gで、緑色のヘタに果皮は薄紫色といった、外観的にも特徴的なナスです。また味も大きなナスではありますが、肉質が柔らかく甘味が強くなっています。
 明治の中頃に、天龍村神原地区に住んでいた田井沢久吉さんが、東京の種苗店から種子を取り寄せて栽培したのが最初で、田井沢さんの名にちなみ「たいざわなす」と言われていましたが、地元では親しみを込めて「ていざなす」と呼ばれるようになりました。

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三豊ナス


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三豊ナス (香川県三豊市、観音寺市)

●特徴と由来
 三豊(みとよ)ナスが香川の地に土着した歴史は、昭和初期に朝鮮半島へ出向いていた旧三豊郡の農家が、おいしいナスを見つけ、この種子を持ち帰ったのが始まりです。三豊市、観音寺市(ほとんどが旧三豊郡)ではナスと言えば三豊ナスが定番です。
 三豊ナスは、晩生の大果(千両ナスの3倍)品種です。特徴は、花が咲いてから収穫まで25日程かかるため、収量が少なく経済栽培に向かないこと。また、表皮が薄く柔らかいため、輸送中に傷がつきやすく、店持ちが悪いことです。
 香川県出身の大平総理大臣が誕生した頃、コロコロとした体型にあやかって「大平ナス」の名前で京阪神市場に出荷を試みた経緯もあります。

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やきなす


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やきなす (新潟市北区木崎地区)

●特徴と由来
 「やきなす」は、新潟市北区木崎地区だけで生産されており、地元で採った種子をまいて栽培する、門外不出の地場特産物です。
 大きさは最大で約30cmくらい、重さは約300gにもなります。このジャンボナスは、文字通り焼いたり蒸したりして食べる専用の品種です。ふっくらとした果実の先がとがることが特徴の通称「鉛筆なす」を昭和30年代に自家採種によって大きいものだけを残し、その種子で栽培したナスを焼いてたべたらおいしかったということから「やきなす」と命名されました。
 果実は、黒紫色の濃い色ではなく、むしろ真夏の収穫最盛期になると赤紫に近い色になり、外観はあまりよくありません。しかし、焼きなすとしての味は絶品で、甘くとろりとした食感が特徴の、新潟市周辺ではおなじみのナスです。

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