提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


野菜

ハクサイ栽培の作業体系

2008年12月 9日

圃場準備

●台風や長雨があっても滞水しないような、排水の良好な圃場を選びます。 
●堆肥は十分腐熟したものを2t/10a程度施用し、あわせて石灰やリン酸肥料を用いて土壌改良を行います。
●土壌のpH(KCl浸出)は、5.7~6.0が適します。
●春まき栽培では、マルチやトンネル被覆を早めに行い、地温を高めて定植に備えます。
●やむを得ず連作する場合は、とくに黄化病や根こぶ病の発生に注意します。抵抗性品種を利用したり、土壌消毒を行うなどの対策をとります。

左:黄化病罹病性品種 右:抵抗性品種
黄化病罹病性品種(左)と抵抗性品種(右)

育苗

●育苗日数に応じて、72~128穴セルトレイ、5×5や6×6の連結ポット等を使い分けます。 
●保水性に注意して、N成分が150~200mg/ℓ程度の、市販の培養土を利用します。
●1セル3粒まき(コート種子は1粒)とし、本葉が見え始めた頃1本に間引きます。
●秋まきでの育苗日数は14~15日、雨よけ程度の育苗床で通風を図り、灌水を控えめにして、小振りの葉の苗を作ります。
●しっかりした苗は根鉢の形成も良好で、育苗トレイから抜きやすく、活着も優れます。
●ハクサイは、播種以降、低温(13℃以下)に感応して花芽が分化する性質があります。冬春まき栽培では抽台抑制のため、できるだけ低温に遭う時期を遅らせるように、約30日、本葉6~7枚まで育苗します。

育苗条件(容器、施肥量、水)で異なる生育
育苗条件(容器、施肥量、水)で異なる生育

定植

●土壌によって、施肥量(N成分で追肥を含め20kg/10a前後)や畝の高さを加減します。 
●1条植えが望ましく、畝間60cm、株間40cm、10a当たり4,000株が目安です。
●2条植えにする場合は、条間を45~50cmとし、畝間を少し広く取ります。
●春まきトンネル栽培では、条間40cmの3条植えとします。
●鉢土に薄く土が乗るくらいに植え、軽く株元を押さえます。
●機械移植では、定植前の砕土と定植時の土壌水分に注意します。

追肥・中耕

●溶脱による流亡が多い圃場や、生育期間の長い冬どり栽培では、総施肥量の20%(N成分で3~4kg/10a)程度を、1回か2回に分けて追肥として施用します。 
●1回目は中耕・除草を兼ねて、外葉が重なり始める前の定植後20~25目頃、また2回目を行う場合は、その20日後に、葉に肥料が乗らないように注意して、畝間に施用します。
●マルチ栽培やトンネル栽培では、追肥を省略します。

畝間に追肥後、管理機で中耕
畝間に追肥後、管理機で中耕

春ハクサイの保温管理

●ベッド幅120cmで有孔マルチを展張し、230cm幅のビニルでトンネル被覆します。 
●2月半ば頃までに定植する場合は、トンネル内に不織布べたがけの2重被覆とします。畝の中央に水封マルチを置いて水に蓄熱すると、高い保温効果が得られます。
●定植後20日間はトンネルを密閉して高温管理を行い、活着を促すとともに、花芽分化を抑制します。
●日差しが強くなると、高温障害を起こしやすくなるので注意します。
●その後は、日中22~23℃を目標に、徐々に換気を強めるようにします。
●3月中旬~下旬にはトンネル被覆を除去します。露地栽培と比べると生育の揃いが劣るので、結球程度を確かめながら収穫を始めます。

水封マルチを設置した春ハクサイのトンネル
水封マルチを設置した春ハクサイのトンネル

病害虫の防除と生理障害

●茎葉の病害としては、9~10月に発生しやすい軟腐病、黒斑細菌病等が重要です。
●アブラムシ類やコナガ等は生育初期、ハスモンヨトウやオオタバコガ等は結球直前の防除に重点を置きます。 
●Ca不足による芯腐れ症、Nの過剰吸収が大きな要因になるごま症等の生理障害が発生しやすいので、土壌管理や品種の選定にも注意します。

収穫・調製・出荷

●生育が進み、結球部の先端が外葉の先端と並ぶ頃が収穫の適期です。
●外葉を0.5~1枚程度残して、調製します。
●産地では圃場で箱詰めまで行って、そのまま出荷することも多くなっていますが、切り口を良く乾かしてから箱詰めするようにします。

収穫直前の結球状態圃場で箱詰めし、直接出荷
 :収穫直前の結球状態 /  :圃場で箱詰めし、直接出荷

貯蔵

●比較的冷え込みの少ない地域では、立毛のまま、頭部をワラなどで結わえるだけの保蔵が広く行われています。 
●圃場の隅に根を切っただけで寄せ、ワラやシートなどで覆い保温すると、春先まで貯蔵しておくことができます。

頭部結束ハクサイを収穫ワラを乗せて、不織布等で包む本囲い貯蔵
 :頭部結束ハクサイを収穫 /  :ワラを乗せて、不織布等で包む本囲い貯蔵

執筆者
鈴木 雅人
茨城県農業総合センター 専門技術指導員室 首席専門技術指導員 

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