提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


飼料作・畜産

飼料作・畜産編【1】 飼料用米

2008年4月22日

(2014年8月 一部改訂) 

品種・栽培

●収益性を上げるために、10a当たり800kg前後の玄米収量が期待できる多収性品種を選択します。次のような品種があります。

・きたあおば (北海道向け)
・たちじょうぶ (北海道の上川および留萌以南向け)
・みなゆたか (寒冷地北部の冷涼地帯、その他寒冷地の山間地および関東以西の山間冷涼地向け)
・べこごのみ (東北中部以南向け)
・ふくひびき (東北中部以南向け)
・べこあおば (東北中部以南向け)
・夢あおば (東北中南部、北陸および関東以西向け)
・ゆめさかり (東北中南部、北陸および関東以西向け)
・タカナリ (関東以西向け)
・ホシアオバ (東北南部、関東以西向け)
・もちだわら (関東以西向け)
・北陸193号 (北陸、関東以西向け)
・ミズホチカラ (九州の平坦地および温暖地平坦部)
▼(参考)地域に適応した飼料用米の多収性品種

 これらの多収品種は、多肥栽培に適しています。主食用と比べて粒が大きいことから、玄米千粒重を見て播種量を調整します。

●温湯浸漬法による種子消毒を行い、種子伝染性病害を抑制します。
●品種の特性を把握して、低コスト栽培に向け鉄コーティングなどの直播栽培や粗植栽培をします。
●栽培は食用水稲と同様に行いますが、玄米収量を高める肥培管理をします。
●窒素施肥量は品種の耐倒伏性に留意しながら、食用水稲の1.6~2.0倍程度とし、分げつ数、穂数をふやすため、3~4回に分けて追肥します。畜産農家と連携して堆肥等を積極的に活用します。
●籾米のまま家畜に給与する場合、出穂期に使用できる農薬が限られています。普及センター等で確認して使用します。

2014esamai_minayutaka.jpg  esamai_bekogonomi.jpg
 :みなゆたか /  :べこごのみ

esamai_hokuriku193.jpg  esamai_yumeaoba_fukuhibiki.jpg
 :北陸193号 /  :ふくひびき(左)と夢あおば(右)

esamai_takanari.jpg  2014esamai_mizuhochikara.jpg
 :タカナリ /  :ミズホチカラ

収穫から調製・加工まで

●収穫は食用水稲と同様に行います。
●収穫後はカントリーエレベータ等で乾燥・保管~籾すりを行い、配合飼料工場へ運びます。加工(破砕・粉砕)したのち、家畜用の配合飼料にします。鶏向けでは加工は必要とせず、乾燥籾、玄米のまま給与できます。

esamai_syukaku.jpg  esamai_momisuri.jpg  玄米
左から上から 籾米の収穫、籾すり、玄米

  2014esamai_1.jpg
破砕装置

●牛・豚向けでは利用性を高めるため加工処理が必須です。

(農家集団で取り組める加工方法)
●乾燥籾、玄米を市販の破砕機で2mm程度に破砕もしくは粉砕して給与できます。
●籾米サイレージ(ソフトグレインサイレージ)は破砕もしくは膨軟処理後、加水して水分30~35%に調整し、乳酸菌添加後に密封します。約1カ月で発酵が完了すると給与できます。
●籾米サイレージは乳牛、肉牛に適し、豚向けにも直接給与、リキッド給与できます。

2014esamai_hannyu.jpg  2014esamai_containertounyu.jpg
 :籾米の搬入 /  :原料籾のコンテナ投入

  2014esamai_genryoutounyu.jpg  2014esamai_syori.jpg
 :ホッパーへの原料投入 /  :プレスパンダー処理

2014esamai_tenka.jpg  2014esamai_dakki.jpg
 :加水・乳酸菌添加 /  :業務用掃除機で脱気

2014esamai_hokan.jpg  2014esamai_hansyutsu.jpg
 :籾米サイレージ保管 /  :利用農家への搬出
※写真提供:JA真室川町


  (飼料工場で行う加工方法)
●籾米もしくは玄米を圧ぺん機にかけて、圧ぺん飼料として使うこともできます。

esamai_chosei.jpg esamai_atupenmomi.jpg
 :圧ぺん機による調製 /  :圧ぺん籾

2014esamai_6.jpg  2014esamai_7.jpg
 :ペレット化(圧ぺん機) /  :配合飼料に加工

●籾米もしくは玄米をペレット化して、配合飼料原料にすることができます。
●その他、籾米もしくは玄米を膨潤化処理、エクスとルーダー処理、エキスパンダー処理等を行うことによって、利用性を高めることができます。

利活用

●家畜への給与にあたっては、飼料用米を含めて飼料成分をよく把握したメニューを作成し、徐々に切り替えることが大切です。給与開始後は、家畜をよく観察しながら給与量を増やすことが基本です。
●乳牛への給与は、泌乳前期で全飼料中10~15%、泌乳中期~後期は20~25%を給与でき、産乳性は市販配合飼料と同等です。
●肉牛への給与は、肥育全期間を通じて市販配合飼料の25%程度を加工処理した飼料用米を給与できます。
●豚への給与は粉砕玄米の場合、肥育前・後期を通じて飼料中50%、後期のみ75%、粉砕籾米の場合、肥育後期のみ30%で、エクストルーダー処理すると50%まで給与できます。また離乳子豚への玄米給与は、ふん便性状を改善することで増体が高まります。
●鶏への給与は、採卵鶏の場合玄米および籾米はトウモロコシを全量代替できますが、代替率が高まると卵黄色が薄くなります。肉用鶏の場合もトウモロコシの代替となりますが、飼料中脂肪の配合割合に注意します。

●飼料用米利用による飼料費変動に注意して、配合割合を決めることが大切です。
●飼料用米を食べさせることで畜産物品質は変化しますので、消費者や市場の声に耳を傾けることが大切です。

esamai_ushi.jpg esamai_buta.jpg
 :黒毛和牛への給与 /  :肥育豚への給与

esamai_tori.jpg
採卵鶏への給与

飼料米給与の優良事例

【養豚】
 ●(株)平田牧場 (山形県) HPはこちら
 ●(株)フリーデン (神奈川県) HPはこちら

【採卵鶏】
 ●農事組合法人トキワ養鶏 (青森県) HPはこちら
 ●(株)鈴木養鶏場 (大分県) HPはこちら

執筆者
吉田 宣夫
山形大学農学部附属やまがたフィールド科学センター 教授

▼(参考)飼料用米の生産・給与技術マニュアル〈2015年度版〉

(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)

◆飼料作・畜産編 もくじはこちら