提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


米粉用の品種

2016年3月31日

米粉用の品種とは

●国内の自給率を高めるために、パンや麺に米粉を利用することが進められています。
●米粉用の品種に求められる特性として、パンや麺への加工適性が高いこと、収量性が高いことが挙げられます。
●近年、パン用や麺用に適する米粉用品種が育成されました。これらのうちのいくつかの品種を紹介します。

パン用の品種

「米粉パンに適した米粉の特徴」
●米粉にした場合に、粒径が小さいものが適しています。
●米粉にした場合に、デンプンが損傷すると吸水性や酵素感受性が高まることから、損傷デンプンの割合が低いものが適しています。
●米粉の粒径が小さく、損傷デンプンの割合が低いと膨らみが良く、型くずれしにくい米粉パンができます。

◆「あきたこまち」熟期の品種「ゆめふわり」 (東北農業研究センター育成)
●「あきたこまち」とほぼ同じ熟期で、冷害の危険性が少ない東北中南部、北陸、関東以西に適します。
●稈長は「あきたこまち」より短く、倒れにくい品種です。
●収量は「あきたこまち」と同程度で、白米のアミロース含有率は登熟温度で変動し(3~12%)、玄米は白く濁ります。
●米粉の粒径が小さく、損傷デンプンの割合が低いため、米粉パンに適しています。小麦粉70%+米粉30%にグルテン添加の米粉混成パンは比容積がやや大きくなり、膨らみが優れます。

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「ゆめふわり」(左)(上)、「あきたこまち」(中)、「スノーパール」(右)(下)の玄米
(提供 :東北農業研究センター)


◆「ヒノヒカリ」熟期の品種「こなだもん」 (九州沖縄農業研究センター育成)
●「ヒノヒカリ」を栽培している西日本の広い地域で栽培できます。
●収量は「ヒノヒカリ」とほぼ同じで、白米のアミロース含有率は、「ヒノヒカリ」よりやや高い19%程度です。
●米粉の粒径が小さく、損傷デンプンの割合が低いため、米粉パンに適しています。米粉80%+グルテン20%で焼成した「こなだもん」のパンは、側面のへこみが「コシヒカリ」のパンより少なく、全体の断面積も大きくなっています(写真)。

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「こなだもん」(左)(上)、「コシヒカリ」(右)(下)の米粉パン
(提供 :九州沖縄農業研究センター)


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「こなだもん」()、「ヒノヒカリ」()の草姿
(提供 :九州沖縄農業研究センター)

麺用の品種

「米粉麺に適した米粉の特徴」
●粘りが少ない高アミロース米が適しています。
●アミロース含有率が高いと、米粉麺に加工した場合に麺離れが良くなります。

◆「きらら397」熟期の品種「北瑞穂」 (北海道農業研究センター育成)
●「きらら397」に近い熟期で、北海道で栽培できます。
●耐冷性は「きらら397」より優れ、収量は「きらら397」より14%程度多収です。
●白米のアミロース含有率は約30%あり、米粉麺に適しています。
●貝殻型のライスパスタ(写真)、50%米粉クッキーにも加工適性が高く、食味評価も良好です。

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「北瑞穂」の米粉麺()とライスパスタ(
(提供 :北海道農業研究センター)


◆「ひとめぼれ」熟期の品種「あみちゃんまい」 (中央農業総合研究センター育成)
●「ひとめぼれ」に近い熟期で、冷害の危険性が少ない東北中南部、北陸、関東以西に適します。
●収量は標肥では「ひとめぼれ」並ですが、多肥では「ひとめぼれ」より多収です。
●白米のアミロース含有率は30%程度あり、米粉麺に適しています。
●高アミロース米ですが、「コシヒカリ」等と同様の粒形であるため、選別、精米など従来の日本型品種に対応した調整方法が適用できます。

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「あみちゃんまい」()、「ひとめぼれ」(中)、「あきたこまち」()の草姿 
(提供 :中央農業総合研究センター)


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「あみちゃんまい」()、「ひとめぼれ」(中)、「あきたこまち」()の籾と玄米 
(提供 :中央農業総合研究センター)


◆「コシヒカリ」熟期の品種「越のかおり」 (中央農業総合研究センター育成)
●「コシヒカリ」に近い熟期で、冷害の危険性が少ない東北南部、北陸、関東以西に適します。
●倒伏には「コシヒカリ」より強く、収量は標肥で「コシヒカリ」よりやや低く、多肥で「コシヒカリ」並です。
●白米のアミロース含有率は33%程度あり、米粉麺に適しています。製麺適性は、標肥栽培、多肥栽培で差がありません。
●高アミロース米ですが、短粒の日本型品種であるため、選別、精米などに既存の設備や機械での調整方法そのまま適用できます。

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「越のかおり」()、「コシヒカリ」(中)、「キヌヒカリ」()の籾と玄米
 (提供 :中央農業総合研究センター)
 

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「越のかおり」()と「春陽(一般米)」()の米粉麺
 (提供 :中央農業総合研究センター)
 

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「米100%越のかおり麺」
(提供 :中央農業総合研究センター)

執筆者 
山口 誠之
農研機構 作物研究所 稲研究領域

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