提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


作期の選定

2009年4月26日

(2014年5月 一部改訂) 

稲の作期と特徴

「作期」
●「作物を作付け栽培する時期」のことを、作期と言います。
●作期は、生育適温、日長、降水や台風、降霜等の気象、病虫害の発生消長、前後の作物、出荷時期の市場性等によって、決定されます。
●同一地域でも、作期により早晩性の異なる品種の作付けが行われますが、地域によって、主要な作期が定着しています。
●気象的な余裕がある西日本では多様な作期が存在し、冷涼な東北北部や北海道では作期の幅は狭くなっています。

「作期の種類と特徴」
  ●稲作の場合、作期は、「普通期」、「早期」、「早植」、「晩植」、「晩期」などに分けられます。

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 :早期作水稲(七夕コシ)の田植えのようす。奥の作物はタマネギと小麦 (佐賀県杵島農業改良普及センター提供)
 :佐賀県白石平野の早期作水稲(七夕コシ) 奥の黄色い作物が成熟期の小麦 (佐賀県杵島農業改良普及センター提供)


「普通期栽培」
●「普通期」の定義は一定しておらず、全国の水稲作作付け時期を横並びにして作期を整理する場合には、関東以西の温暖地や暖地において麦収穫後の6月中旬に移植する作型が普通期栽培とされますが、各地域における主要な作付け時期を普通期栽培とする場合もあり、このときには普通期栽培に対して、作付けの早い作期が早植え栽培、遅い作期が晩植栽培となります。
●各地域における普通期栽培は、移植や直播後の気温や出穂後の登熟気温が十分に確保できる条件で設定されています。

「早期栽培」
●早期栽培は、「関東以西の地域において、早生品種を使って移植期を早くして、8月中の収穫が達成される作期」です。
●台風の影響を受ける頻度が高まる9月以前に収穫を行って風水害を回避すること、メイチュウの被害を軽減すること、北陸や東北などの大産地での収穫前に新米として早期に出荷することで販売面の有利性を得ることが導入の利点です。
●早期栽培で生産されて、お盆の頃などに出荷される米を早場米と呼びます。
●関東・東海や九州の早期地帯では障害型の冷害が、北陸の早植、関東~近畿などの早植栽培地帯では高温障害を受けやすくなる場合があります。

 
早期栽培の稲の姿―コシヒカリとイクヒカリ (鹿児島県農業総合開発センター 作物研究室提供)

「早植栽培」
●移植時期を早めることで出穂期までの生育量を確保するとともに、出穂を早めて登熟を安定させることにより収量性の安定化を目指した作期です。
●出穂期が早まり、登熟気温が高まることが収量性の安定化に有効となりますが、登熟期が高温な時期と重なるために、特に関東以西の地域においては高温登熟による品質低下や穂発芽を助長する可能性もあります。
●栽培管理としては、早期栽培同様に低温期や高温期における水管理の対応が重要です。

「晩植栽培」
●前作との競合の回避や高温登熟による品質低下の軽減を目的として、品種や栽培法を著しく変えない条件で移植時期を遅くする作期を指します。
●寒冷地においては晩植栽培により出穂期が遅れると遅延型冷害の危険性が増大するものの、障害型冷害の危険性は低下するため、普通期栽培との組み合わせによる危険期分散に有効となります。
●育苗期間が高温となりやすいので、育苗期間の短縮や育苗ハウスの高温防止対策により、苗の徒長を防止することが重要です。

「晩期栽培」
●晩期栽培の作付け時期は7月~8月上旬で、一般には感光性の高い晩植適性品種が作付けされます。
●分げつ期間が短いために一般に密植栽培が行われ、前作の畑作物における連作障害の軽減にも有効です。
●晩植栽培同様、苗の徒長防止対策が重要となります。

作期の選定と留意点

「作期の早限」
●春先の気温が移植後の活着や直播後の出芽が可能な気温に達する時期となります。具体的な日平均気温の目安は、稚苗移植では12℃、中苗移植では13~14℃、直播栽培では11.5℃となり、暖地ほどこの時期が早くなります。

「作期の晩限」
●充分な登熟が確保できる出穂晩限までに出穂する作付け時期となります。品種の早晩性を考慮して作期を設定する必要があります。出穂晩限は出穂後40日間の平均気温が20~21℃を下回らない時期となります。

「留意点」
●作期はこのような気象条件に加えて、作付けする品種、前作の収穫時期の他、産米の販売の有利性や地域の水利等に応じて決定する必要があります。
●近年は、大規模化に対応して、早生~晩生品種と早植~晩植栽培を組み合わせることで、移植期間と収穫期間を分散させる体系が増加しています。
●近年顕著になっている高温登熟への対策として、作期選定は重要な対応策の一つですが、耐性品種の選定や水管理、肥培管理の組み合わせが重要です。詳細は、高温登熟対策の項を参照してください。

執筆者
堀末 登
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 フェロー
吉永 悟志
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター北陸研究センター

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