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稲編【11】難防除雑草対策

2008年06月10日

ノビエ

「ノビエの種類」 
●ノビエ(野稗)はタイヌビエ、イヌビエ、ヒメタイヌビエ、ヒメイヌビエなどの雑草ヒエの総称です。
●ノビエに効果のある除草剤が多く使われている現在でも、残草しやすい雑草の一つです。
●水田ではタイヌビエ(全国)とヒメタイヌビエ(暖地、温暖地)が多くみられます。
●最近は、畑地、休耕田、路傍、空き地、果樹園などでよく発生するイヌビエ(有芒タイプ、無芒タイプ)が水田の中でも目立つようになりました。

タイヌビエイヌビエ有芒型イヌビエ無芒型
 左 :タイヌビエ / 中 :イヌビエ有芒型 / 右 :イヌビエ無芒型

「ノビエの観察と対策」 
●除草剤の使用時期(晩限)は、ノビエの葉令で示されることが多いので、水田でのノビエの観察は大切です。

ノビエの葉令の数え方
ノビエの葉令の数え方(出典 :日本植物調節剤研究協会(2002)除草剤試験の手法(7)-雑草の葉齢の数え方-.植調36(3)、105-110)

●イネは最初の葉(鞘葉の次に出てくる葉)には葉身が無く不完全葉と呼ばれますが、ノビエは鞘葉の次の葉にも葉身があり、本葉第1葉として数えます。
●2枚目の葉全体が抽出・展開して、まだ3枚目の葉先が見えないときが2葉期です。
●3枚目が抽出して予想される長さの半分まで伸びたときを、2.5葉期と数えます。
●除草剤の使用時期を少しでも過ぎると、効果は大きく低下します。
●畦畔から見えるノビエが2.5葉だとしても、水田の中にはそれより生育の進んだノビエが生えているかも知れません。
●3葉期までの一発処理剤ならば2.5葉期までに、2.5葉期までの剤ならばノビエ2葉期までに散布するなど、安定した除草効果を得るためには、早め早めの使用が望ましいとされています。

多年生雑草

「多年生雑草の種類と特徴」 
●種子だけでなく栄養繁殖器官(株基部、塊茎、鱗茎、根茎など)からも発生する雑草を、多年生雑草と呼びます。
●クログワイ、オモダカ、ウリカカワ、ミズガヤツリ、シズイ、コウキヤガラは塊茎から出芽します。
●初期生育は旺盛で、除草剤によるダメージからの回復力が強いので、除草剤の効果が小さい傾向があります。 

「オモダカとクログワイ」 
●特にオモダカとクログワイの塊茎は、土中の深いところに形成され、クログワイは鋤床の下からも発生してきます。
●オモダカの塊茎の芽は1つだけですが、クログワイの塊茎にはいくつもの芽があります。
●一つの塊茎から出てきた個体を防除しても、その年(または次の年)に同じ塊茎の別の芽から発生してきます。
●両種とも発生期間が長いという特徴があり、だらだら発生することで、除草剤の影響を回避しています。一回の除草剤散布で完全に防除できない原因です。

オモダカシズイ
難防除多年生雑草 (左 :オモダカ / 右 :シズイ)

「シズイとコウキヤガラ」 
●シズイは、寒冷地や標高の高いところでよく問題となる多年生雑草です。
●5mm前後の小さな塊茎を多数形成し、水田ではその小さな塊茎から出芽します。
●種子も作られますが、シズイの種子は休眠が深く、一年間程度の土壌中貯蔵では全く発芽しません。
●コウキヤガラは、発生地域が沿岸近くの水田に限られ、干拓地の代表的な難防除雑草です。
●コウキヤガラ、シズイともに水田での発生時期が早く、多発した場合には、水稲の生育を大きく抑制する強害雑草です。

「難防除多年生雑草の防除」 
●これら難防除多年生雑草は、一発処理剤とそれぞれの草種に有効なベンタゾンなどを含む除草剤との体系処理で防除します。
●オモダカ、ウリカワ、シズイ、ミズガヤツリの塊茎の寿命は1~2年、クログワイの塊茎の寿命は3~5年です。
●したがって、数年間完全に防除すると水田土壌中の塊茎は無くなるので、これら多年生雑草は出てこなくなります。
●ミズガヤツリの塊茎は、酸素が少ないと出芽できないので、よく代かきして土壌中に埋め込んでしまうと発生数が少なくなります。
●温暖地以西では、水稲収穫後にも多年生雑草が生育して多数の塊茎を作ります。
●水稲収穫後の耕耘が、塊茎の形成防止に有効です。

最近増えている一年生雑草

「湿性雑草の増加」 
●アメリカセンダングサ、イボクサ、クサネムといった湿性雑草が増加し、田畑共通雑草としてよく問題になります。水田の周りで転換畑が増えているところや、水稲直播栽培の取り組みが普及している地域では、落水条件(湿潤な土壌)で出芽して湛水条件でも旺盛に生育します。

「センダングサ属雑草(アメリカセンダングサ、タウコギ)」 
●落水条件や水かかりの悪い場所でよく発生する大型のキク科一年生雑草です。
●畦畔際、無代かき栽培での出芽が多く、湛水直播栽培の播種後落水や芽干し時期にも出芽します。
●できるだけ水深を深くして、5cm以上を保つように管理すれば、出芽や生育を大きく抑えることができます。
●アメリカセンダングサは、スルホニルウレア系除草剤を含む一発処理剤を散布して、その後発生したものは、MCPBやベンタゾンを含む中期剤や後期剤で防除します。
●タウコギは、スルホニルウレア系除草剤の中でも、特にピラゾスルフロンエチルの効果が高いとされています。

アメリカセンダングサタウコギ
左 :アメリカセンダングサ / 右 :タウコギ

「イボクサ」 
●ツユクサ科の一年生雑草です。
●畦際で多発して、茎が地面を這うように伸び、節から根や茎を出して水田内に広がります。
●特に乾田直播栽培で繁茂しやすく、イネにからみつくと減収や倒伏の原因となり、収穫作業の障害にもなります。
●播種後、土壌処理剤の成分であるブタクロールや、乾田期の茎葉処理剤であるビスピリバックナトリウム塩の効果が高いので、これらの成分を利用した除草体系で防除します。

「クサネム」 
●マメ科の一年生雑草で、種子は茶褐色です。
●長さ3.5mm、幅2.5mmほどで、米選機でも除去できないため、収穫した玄米に混入して品質低下の原因となります。
●落水条件や浅水で出芽しやすく、直播栽培でよく問題となります。
●生育の進んだ個体には有効な除草剤が少ないのですが、中期除草剤ではビスピリバックナトリウム塩液剤、後期除草剤ではMCPA等のホルモン剤の効果が高いことが知られています。
イボクサクサネム 
左 :イボクサ / 右 :クサネム

SU抵抗性雑草

「SU抵抗性雑草の出現」 
●スルホニルウレア系除草剤(SU剤)の各種成分(ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチルなど)に抵抗性を示すバイオタイプが、これまでイヌホタルイ、コナギ、アゼナ類など12種の水田雑草で見つかっています。

SU抵抗性バイオタイプが見つかっているイヌホタルイコナギ 
左 :SU抵抗性バイオタイプが見つかっているイヌホタルイの実生 / 右 :コナギ

「SU抵抗性雑草の防除」 
●一発処理剤を利用してSU抵抗性雑草を防除する場合は、SU剤の他にその雑草に効果のある成分が含まれている一発処理剤を選択します。
●イヌホタルイ、コナギ、アゼナ類については、抵抗性バイオタイプに有効な成分がわかっています。
●たとえば、SU抵抗性イヌホタルイ対策は、イヌホタルイに効果のあるブロモブチドあるいはベンゾビシクロンなどが含まれている一発処理剤を使います。
●初期除草剤と中期除草剤を用いた体系処理も、SU抵抗性雑草の防除に有効です。

●(財)日本植物調節剤研究協会のホームページに「SU抵抗性雑草について実用化可能と判定された除草剤」 が掲載されています。それを参考にして、除草剤や除草体系を選択してください。

※除草剤の選択にあたっては、もよりの農業改良普及センターや農協などにお問い合わせください。

執筆者
渡邊 寛明
中央農業総合研究センター雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム長

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◆稲編
【1】 栽培型の選定 
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