稲編【1】 栽培型の選定
2008年03月14日
稲の作期と栽培型
「作期」
●「作物を作付け栽培する期間」のことを、作期と言います。
●各作物の生育適温、日長、降水や台風、降霜等の気象、病虫害の発生消長、前後の作物、出荷時期の市場性等によって、作期は決定されます。
「栽培型」
●稲作の場合、「栽培型」は作期により「早期」、「早植」、「普通期」、「晩植」、「晩期」などに分けられます。
●作期により、同一地域でも、早晩性の異なる品種の作付けが行われます。
●同じ栽培型の中での植付け期の早晩による違いは、「やや早植」、「標準」、「やや晩植」などと呼んでいます。
●稲の栽培型は、県・地域によって、これまで出来上った体系があり、ほぼ定着しています。
●気象的な余裕がある関東・東海~九州の地域では、一般に早期、早植、普通期、晩植などのいくつかが並存しています。
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左 :佐賀県白石平野の早期作水稲(七夕コシ) 奥の黄色い作物が成熟期の小麦 (佐賀県杵島農業改良普及センター提供)
右 :早期作水稲(七夕コシ)の田植えのようす。奥の作物はタマネギと小麦 (佐賀県杵島農業改良普及センター提供)
栽培型の特徴
「早期栽培」
●早期栽培は、「早生品種を使って移植期を早くし、出穂・成熟を早めて作期全体を早くする方法」です。
●台風を避けたい、早場米を出したいなどの理由から、関東以西では早期栽培が始まりました。
「早期栽培と台風の関係」
九州では一般に8月上旬~9月上旬に、また関東では9月上旬~9月下旬に台風が多く来襲します。早期の稲では両地域ともに、それまでにほぼ実ってしまう、あるいは収穫近くになっており、台風の被害を軽減できます。
●最近、早期や早植栽培地帯では、有利販売のためや労力事情から、さらに早く植える傾向があります。
●ただし、関東・東海や九州の早期地帯では障害型の冷害が、北陸の早植、関東~近畿などの早植栽培地帯では高温障害を受けやすくなる場合があります。
写真 :早期栽培の稲の姿―コシヒカリとイクヒカリ (鹿児島県農業総合開発センター 作物研究室提供)
「麦後の晩植栽培」
●麦後の晩植栽培は、出穂晩限前に出穂するもので、ある程度出穂の晩い品種を使って、収量、登熟期の適温を確保する栽培型です。
●麦の主産地の九州中北部の晩植では、出穂は8月中旬~9月中旬となります。
●同じく、関東の麦後の晩植では、出穂は8月下旬~9月上旬頃となります。
●台風にはどちらも当たりやすいですが、関東では台風通過後のフエーンの影響も大きいようです。
●晩植でも、特に暖地の九州では、出穂が早いほど高温障害を受けやすくなります。
温暖化に対応した作期、栽培法
「温暖化による品質低下」
●最近、水稲が夏の高温、特に出穂後3週間ぐらいに高温に遭遇して、玄米に乳白粒、背白粒などの白未熟粒が出て品質を低下させ、大きな問題となっています。
●特に北陸の早植、九州の晩植地帯などで被害が大きいようです。温暖化の傾向から、これまでと同じ播種期では従来よりも出穂も早くなり、より高温に遭遇するようになるからです。
「温暖化への対処法」
●「耐暑性品種」の効果は大きいです。
●特定の品種しか作れない場合は、やや晩植にする方法が有効です。播種期を今までよりも後にずらすことで、出穂を遅らせ高温障害を避けます。
このほかには、
●適正籾数の確保、肥効調節型肥料の使用、地力向上や適正な水管理などで、根の健全化を図る
●食味を落とさない程度に、穂肥を適量施してやる
などの栽培法が指導されています。
最近では、穂肥追肥や土作りの煩雑さなどの問題もありますが、
●飼料稲を栽培し、堆肥作りなどでは畜産農家と連携を図る
などの方法もあります。
写真 :耕畜連携による飼料稲栽培
堀末 登
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 フェロー
(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)
◆稲編
●【2】 品種の選定
●【3】 育苗法のいろいろ
●【4】 苗作りの実際―箱育苗について
●【5】 本田の準備
●【6】 機械移植栽培
●【8】 直播による水稲栽培
●【9】 水稲直播栽培の実際
●【10】水田除草剤と雑草防除
●【11】難防除雑草対策
●【12】収量・品質を決める施肥
●【13】稲作における水管理
●【14】良食味米の栽培法
●【15】稲の病害防除
●【16】稲の虫害防除
●【17】適期収穫
●【18】乾燥・調製
●【19】農薬に頼らない雑草防除法
●【20】農薬を削減する病害防除法
●【21】農薬を削減する虫害防除法
●【22】米の貯蔵





