提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


雑穀・山菜・その他

赤ミズ(ウワバミソウ)

2018年2月27日

由来と特徴

●ウワバミソウは、イラクサ科ウワバミソウ属の植物です。「赤ミズ」、「ミズ」、「ミズナ」などと呼ばれています。
●名前のとおり多汁質の山菜で、山間地の日陰の湿地や渓流の近くに多く自生しており、全国に広く分布しています。
●雪どけ間もない早春に萌芽が始まり、夏には条件が良いと草丈が80cm近くにも達し、晩秋になると地上部の茎葉が枯れ、地下部には新芽を形成して冬季の休眠に入ります。休眠は、他の山菜同様、低温により打破されます。
●生育適温は約20℃前後で、やや低い気温を好み、夏の高温期には生育が停滞します。新芽は低温に弱く、萌芽間もない茎葉が晩霜害を受けることがあります。また、直射日光により日焼けしやすいため、生育期間中は70%程度の遮光を行う必要があります。
●山菜として食用にする部分は茎で、山形県では5月から茎の硬くなる前の6月までが採取期間ですが、初秋以降、葉の基部に着生する肉芽(呼称「ミズ玉」など)も食用にされます。
●宿根性の山菜のため、雑草対策が重要です。自生地の環境条件を考慮しながら、創意工夫してください。

繁殖方法

●繁殖は、肉芽を用いると効率良く行うことができます。葉の基部に着生する茶褐色の肉芽は、秋になって茎葉が枯れるのにしたがって地上に落下し、翌春、芽を出します。自生地から肉芽を採取する場合は、落下してから行うと、落ち葉に埋もれて採取が困難となるので、10月下旬(山形県の場合)までに行います。
●肉芽は大きいものほど出芽率や出芽後の生育が良いので、なるべく大きなもの(約0.2g以上)を採取します。
●採取する肉芽の数量は、栽培面積1a当たり約2,000株の苗が必要になるので、必要苗数の一割増しを目標に行います。
●肉芽には休眠があるため、採取した肉芽を網袋等に入れ、屋外の土中や家庭用冷蔵庫で貯蔵します。屋外で貯蔵する場合は野ねずみに、冷蔵庫で行う場合は乾燥に注意してください。

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養成中の赤ミズの株(提供:JA新庄もがみ)

「ハウス育苗」
●露地育苗も可能ですが、定植翌年から収穫できるハウス育苗が適します。
●128穴セルトレイを用い、培養土は有機物が多く、乾燥しにくいものが適します。育苗期間は50~60日程度となります。定植は、地域の晩霜の心配がいらなくなる時期から逆算して、肉芽の植え付け時期を決めます。
●植え付けは、あらかじめセルトレイに八分程度培養土を充填しておき、1穴に肉芽1粒ずつ播種し、覆土後に十分かん水します。出芽後は25℃以上にならないように温度管理を行います。日射しが強い場合は、遮光率50~70%程度の遮光資材が必需品です。

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定植適期の赤ミズセル苗(提供:JA新庄もがみ)

定植

●直射日光が当たらない特殊な圃場を除き、遮光施設が必要です。遮光資材は、遮光率70%程度の資材を用いて日除けを行います。土づくりも大切で、完熟堆肥を1a当たり400kg以上施用します。
●基肥は窒素、リン酸、カリとも成分量で、1a当たり0.6kg程度です。
●乾燥しやすい畑では、効率よくかん水を行うため、ミストタイプのかん水装置を設置します。
●栽植密度は、株間20~25cm、条間20~25cmとします。この場合、1a当たりの栽植本数は、約2,000株です。

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赤ミズの定植(撮影地 :山形県最上産地研究室)

1年目の栽培管理

●かん水がポイントになります。かん水は晴天日の午前中に、茎葉の上から散水します。とくに夏の高温期は、茎葉を濡らすことにより、生育の停滞を防止する効果があります。
●追肥は定植1か月後と、夏の高温期を過ぎ、気温が低下し始める8月下旬の2回、それぞれ1a当たり窒素成分で0.2kgを茎葉の上から散布して、ただちに散水を行います。

2年目以降の栽培管理

●春先に、有機物の補給と霜対策を兼ねて完熟堆肥や腐葉土を、芽がかくれるように圃場表面に散布します。
●施肥は、融雪直後または早春に1a当たり3要素とも成分で0.6kg程度を全面施用します。追肥は、初夏の収穫終了時と8月下旬の2回、それぞれ、1a当たり窒素成分で0.2kgを茎葉の上から散布して、ただちに散水を行います。
●日射しが強くなる4月下旬(山形県の場合)からは、定植1年目と同様に遮光資材を設置して日除けを行います。
●収穫年次を重ねると、根が混み合い、茎の太さの揃いも悪くなり収量が低下する場合があります。このような状態になった場合が株更新の目安です。

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生育状況(提供:JA新庄もがみ)

収穫

●収穫時期は、山形県では5月中下旬~6月です。草丈が20~30cmに伸びた頃に、地際から鎌で刈り取るか、抜き取りで収穫します。うねの中央部の茎葉は地際部の赤みの着色が遅れるので、赤みが増してから収穫します。
●全刈り収穫を行っても茎が再生してくるので、次年度も収穫を継続することができます。

病害虫

●病害虫の発生はほとんどありません。

執筆者
公益財団法人 やまがた農業支援センター
阿部 清