提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


雑穀・山菜・その他

シコクビエ

2008年8月21日

概要

「由来と特徴」 
●シコクビエは、イネ科、オヒシバ属に分類される一年生草本作物です。
●穂の形態が指のように見えることから、英語でfinger milletといい、日本の地方名でもカモアシヒエと呼ばれたりします。
●原産地は、エチオピアからウガンダにかけての東アフリカ高原地帯です。
●紀元前1,300年頃にはすでにインドで栽培されており、東アジアに伝わったと考えられています。
●日本には、縄文時代晩期に伝えられたと考えられています。

はさがけ
シコクビエのはさがけ

「栽培状況」 
●現在の栽培地は、東アフリカ、インド、ネパールが中心です。イネが栽培できない東南アジアの中山間地でも、栽培されています。
●日本では、中部地方、近畿地方、四国地方の中山間地でわずかに栽培されている程度です。

「利用法」 
●原産地の東アフリカでは、粥や団子状にしたウガリが主食として食べられるほか、ビールとして醸造され、家庭で飲まれています。
●インドやネパールでも、ロティというパンにしたり、醸造、蒸留して飲まれています。
●日本では、岐阜県や徳島県で「だんご」として食べられています。

主な品種と種子の入手方法

●シコクビエの改良品種は、日本にはありません。
●在来品種としては、地方に残存する、わずかな品種があるだけです。
●よって、種子の入手は困難で、栽培地の農家から分けてもらい、自家採種で増殖するしかありません。

栽培

「播種前の準備」 
●アワやキビの場合と同様に、雑草防除のためには、プラウ耕により深く耕すとよいでしょう。
●プラウが無い場合は、ロータリー耕あるいは鍬で土を細かく砕いておくと、出芽率が良くなります。
●シコクビエは、特に初期生育が悪く、雑草との競合に弱いので、極力、雑草種子が発芽しないような耕種的防除が必要です。
●施肥は、堆厩肥を10aあたり4t程度施します。ただし、施肥量が多いと倒伏しやすくなるため、残肥のある土地では施肥量を少なめにしましょう。
●堆厩肥が入手できない場合は、化学肥料(窒素、リン酸、カリ)を10aあたりそれぞれ3~5kg程度、元肥で施します。

「播種」 
●関東の場合、4月下旬から5月下旬まで可能です。
●10aあたり600g~1kgの種子を準備し、畦幅50~60cm程度で、点播か条播します。
●点播の場合は株間10~15cmで、1株あたり5~10粒程度播種します。
●条播の場合は播き幅10cm以内で播種し、出芽揃い後2週間頃とさらに2週間後の2回に分けて間引きします。
●間引きの目安は畦1mに30株程度残すようにします。
●播種深度は1cm程度とし、深くならないように注意します。 

シコクビエの畑移植栽培シコクビエ条播
 :シコクビエの畑移植栽培 /   :シコクビエ条播

「除草と土寄せ」 
●シコクビエは、特に生育初期には雑草負けするので、株元を念入りに除草します。
●節間伸長が始まる播種後50~60日くらいまでは、2週間ごとに除草し、土寄せしましょう。

「移植栽培」

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田植機によるシコクビエ移植(提供 信州大学農学部 井上直人教授)

●雑草との競争力を高めるため、移植栽培がおすすめです。
●発根力が大きく、活着が容易なので、移植栽培に適しています。
●育苗はイネの場合に準じます。
●分けつ能力が高いため、移植本数は2~3本で十分です。
●田植機で移植すると、作業時間は大幅に短縮できます。
●主稈は75日前後で出穂し、さらに45日程度で登熟します。
●ただし、分けつの出穂が遅れながら徐々に続くため、成熟期は不揃いとなります。

「収穫・調製」 
●穂が茶褐色になり登熟したら、収穫可能です。
●収穫期は東北地方で9月上中旬、関東地方で9月中旬~10月上旬です。
●バインダーまたは手刈りで、結束して1週間程度、天日または通風乾燥します。
●栽培規模が大きければ、汎用コンバインが利用できます。
●脱穀にはイネ用の脱穀機を代用できます。ゴミなどを取り除くために篩(ふるい)にかけ、風選します。

コンバイン収穫(提供 :信州大学農学部 井上直人教授)小型収穫機による結束(提供 :信州大学農学部 井上直人教授)
 :コンバイン収穫 /   :小型収穫機による結束
(提供 左右ともに 信州大学農学部 井上直人教授)


「病害虫」 
●病気は、時折穂いもちにかかることがあります。
●害虫は、メイチュウの被害を受けることがあります。
●特に暖地で多く発生し、8月以降、多発する場合があります。
●高冷地では、害虫の発生はほとんどみられません。
●シコクビエの指定農薬はありません。

執筆者 
倉内伸幸
日本大学生物資源科学部准教授
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