提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


野菜づくりの基本

土づくり

2009年7月15日

良い土とは

 良い土とは、水はけ、水もちが良く、堆肥のような有機物を多く含んでいる土です。 

 粘土を多く含んだ重い土から砂のようにさらさらした感じの軽い土まで、いろいろな土がある中で、重くもなく軽くもない中間の土「壌土」が、野菜作りに比較的適した土です。

●良い土の条件は、以下の7点です。
1.根が十分に張れる
2.通気性と排水性が良い
3.保水性・保肥性にすぐれている
4.適正な酸度である
5.清潔である
6.異物が混ざっていない
7.微生物が多く含まれる

 

野菜づくりに必要な土の養分とpH

(1)養分
 野菜類の生育には、窒素・リン酸・カリウム・カルシウム・マグネシウムの5つの養分(多量要素)と、イオウ・ホウ素・鉄・モリブデン・マンガン・亜鉛・銅・塩素の8つの養分(微量要素)などが不可欠です。

(2)野菜の生育とpH
 野菜の種類ごとに、生育に好ましいpH(※1)が異なるので、適正なpHの土づくりを行います。

※1 pH(ペーハー)
酸・アルカリの強さは、pH(ペーハー)という記号で表します。
pH7を中心に、値が小さいほど酸性の性質が強く、値が大きいほどアルカリ性の性質が強くなります。

酸・アルカリとpHの値

(3)酸度を調整する
●酸性土壌を中和する場合
 1平方メートルの面積を10cmの深さまで耕す場合、消石灰を80~100g、または苦土石灰・有機石灰(かき殻)を100~150gを施すと、酸度が「1」上がります。
 土の深さを20cmにすると、2倍の量が必要です。
 石灰質肥料は、施したら、なるべく早く土と混ぜましょう。雨が降ると、石灰が固まってしまうので、注意します。

●アルカリ性の土壌を中和する場合
 鶏ふんを長年繰り返し使っていると、次第にアルカリ性に傾きます。
 アルカリ性になった場合には、鹿沼土の細粒かピートモスを混ぜます。

 作物別pHの好適生育範囲 作物別pHの好適生育範囲

有機物の重要性

 安定して品質の良い野菜を継続して収穫するには、十分な有機物を土に混ぜ込む必要があります。

 有機物が微生物の働きでネバネバを出すことで、細かい土粒同士が結びつきます(=団粒化)。団粒化すると、土の粒々のすき間が多くなって、通気性、排水性がよくなり、根にとっての環境がよくなります。ただし、土粒が細かすぎると、雨が降ったとき水はけが悪く、土中への空気の入りが少なくなります。

 化成肥料や配合肥料を施せば、短期間なら野菜を収穫できますが、有機物の施用がないと、土はだんだん痩せて生育が悪くなり、収穫量と品質が低下していきます。

堆肥の作り方と施し方

(1)堆肥の作り方

 
●材料の落ち葉・枯れ草・わらなどは、手で握ったときに、水分がやっとしみ出るくらいのものを使用します。
●市販のコンポスターなどを利用して、家庭用生ごみのリサイクルで堆肥を作る方法もあります。

(2)堆肥の施し方
●全面施用 :堆肥を圃場の全面に散布し、土と良く混ぜ込む方法です。
●作条施用 :畑の畦の肩の部分に、条(すじ)状に施肥する方法です。

 主な市販堆肥の種類と特性
主な市販堆肥の種類と特性

肥料の種類と特長

 一般に、肥料に使われるのは、5大要素のうち、窒素・リン酸・カリの3要素です。カルシウムとマグネシウムは、石灰質資材として、土の酸性度の調整に使われます。

(1)5大要素の特長
1)窒素
 植物を大きく生長させる養分。特に葉を大きくするため、葉肥(はごえ)と言われる。
多すぎると徒長して軟弱になり、病害虫に侵されやすくなる。足りないと発育が悪く(大きく育たない、収量が少ない、品質がよくないなど)なる。

2)リン酸
  花肥(はなごえ)や実肥(みごえ)と言われ、開花や結実に不可欠の養分。
  多すぎると鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)を欠乏させ、足りないと発育不良から開花や結実の遅れ、子実の品質や収量の低下がみられる。

3)カリ(カリウム)
 主に根の発育に関係するので、根肥(ねごえ)と言われる。水溶性のため流亡しやすいため、少しずつ追肥すると効果がある。
 不足すると枯れ葉や落葉が早く見られ、病気にかかりやすくなる。

4)カルシウム(石灰)
 畑の土は徐々に酸性に傾きやすいので、土の酸度(pH)に応じて作付け前に必ず混ぜるとよい。土を中性に近い状態にしておくと、根張りがよく、土壌微生物の有益な菌を増やすことができる。

5)マグネシウム(苦土) 
 葉緑素の主成分なので、不足すると光合成の働きが悪くなる。


 
(2)主な肥料の種類
1)単肥
 窒素、リン酸、カリのどれか一つを含む肥料
2)配合肥料
  窒素、リン酸、カリ原料を、2成分以上混合した肥料
3)化成肥料
 窒素、リン酸、カリ成分が、バランス良く含まれる粒状の肥料
※配合肥料と化成肥料は、「複合肥料」と呼ばれます。
4)有機肥料
 油かすが代表的。油かすには窒素だけでなく、リン酸、カリも含まれている。リン酸肥料として知られている骨粉にも、窒素が含まれている。
 油かすも骨粉も、それだけでは肥料成分が偏るので、他の肥料と配合し、成分のバランスをとるとよい。

 (参考)有機肥料の成分割合
有機肥料の成分割合

要素欠乏の症状

「果菜類」
●キュウリ
石灰不足は、葉の周縁が黄色くなる。苦土不足は、葉脈間が黄色くなる。肥料が多いと苦土の吸収が悪くなり、苦土不足が起こりやすい。低温によっても発生する。
●トマト
石灰不足は葉縁部が黄色くなり、4段以降の果実に尻腐病が発生する。苦土不足は葉脈間が黄色くなる。石灰と苦土不足が起こりやすい。
●ナス
苦土欠乏がよく見られ、葉脈間が黄化する。石灰欠乏は、葉縁の一部が黄色となる。苦土不足が起こりやすい。

「葉茎菜類」 
●コマツナ
モリブデン不足は、葉がカップ状に内側にまく。
●ネギ
窒素不足は、下葉の先から枯れはじめ、葉色が薄くなる。リン酸不足は、葉は濃緑で生育しない。苦土不足は、下葉の苦土が若い葉に移行するため、外葉が黄色になる。
●ブロッコリ
窒素不足は下葉から黄色くなる。石灰不足は葉縁が黄変し、縁腐れになる。苦土不足は下葉の葉脈間が黄色くなる。
●レタス
窒素不足は生育が悪くなり、若い葉は立性となる。カリ不足は葉縁の切れ込みが黄色くなってくる。石灰不足は葉の周縁部が褐変し、中心部が心腐れを起こす。

「根菜類・いも類」
●カブ
カリ不足は下葉の葉縁が黄色くなる。
●ダイコン
石灰不足は葉縁が黄色くなる。ホウ素不足は、サメ肌ダイコンや赤しん症が起こる。苦土不足が起こりやすい。
●ニンジン
石灰不足は、根に丸い黒色斑点を発生する。

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