提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


ツインこまきによるスクミリンゴガイ対策と密播苗移植作業を実施(佐賀県白石町)

2017年06月28日

 佐賀県は2013年産米から、苗箱の数を減らす育苗技術の普及に取り組み始めている。1箱にまく播種量を倍近く増やし、遮光シートを2重にかけることで育苗期間を1週間~10日程度短縮して作られる「短期苗(※)」は、規模拡大や、重さが1個7kgを超える苗箱の削減につながると考えられている。さらに、麦の収穫などと並行して5月下旬に実施している種まきを、6月に遅らせることが可能となり、繁忙期の作業分散も可能となる。

 県が12年産米で実施した試験では、短期苗でも慣行栽培と遜色ない収量を確保した。しかし、苗が若いため西南暖地で問題となっているスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害に遭いやすく、課題も残されている。

短期苗 :密播でかき取り量を小さくする事により、使用苗箱数を減らし、育苗期間も短くする技術


 そこで、全国農業システム化研究会の事業を利用し、佐賀県杵島郡白石町の実証調査圃場にて、密播苗移植作業による省力化の調査と、ツインこまきによる除草剤、スクミリンゴガイ防除剤、箱まきちゃんでの殺虫殺菌剤の田植え同時処理作業の効率化について検討することとした。
 白石町の実証農家ではすでに、短期苗で12箱/10aの作付け体系が行われていたため、今回の実証では対照区(稚苗区)を設けることとした。

 6月9日、管内の普及指導員のほか、県の普及関係機関、JA、資機材メーカーが見守る中、移植作業が行われた。田植機は、昨年9月に発売を開始した、直進キープ機能付き田植機(EP8D-GS)を使用し、作業負担の軽減も確認する。


圃場図
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区の概要 ※播種量は乾籾あたりの重量
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直進キープ機能付き田植機は、初めに直進方向の基準線を「基準登録スイッチ(始点Aおよび終点B)」で登録すると、次からは「GSスイッチ(直進キープスイッチ:緑のボタン)」を押すだけで、基準線に対し自動的に平行走行することができる


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除草剤のキクンジャーZ(三井化学アグロ(株))およびスクミリンゴガイ防除剤は、ツインこまきで同時処理行う


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左 :スクミリンゴガイ対策として住友化学(株)のジャンボたにしくんを使用
右 :西南暖地で問題となっているスクミリンゴガイは、田植え直後の若い苗を食いちぎり、葉を水中に引き込む食害を起こし、収量低下の原因となっている


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2.0葉期となる実証区の密播苗


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肥料も側条施肥で田植え同時処理を行い、省力化を図る


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箱まきちゃんで散布した殺虫殺菌剤は、北興化学工業(株)のビルダーフェルテラチェス箱粒剤。苗の根本までしっかりまかれていた


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左 :実証農家に操作方法を説明
右 :直進キープ機能のおかげで、ストレスなく真っ直ぐに植えられた


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 10a当たりの使用箱数は、実証区が6.1箱、対照区が9.6箱、慣行区が10.3箱であった。播種作業が丁寧に行われたことから、掻き取りのロスが少なく、全体的に少ない箱数となったが、実証区では苗箱削減につながった。また、同時処理剤も概ね適当量まかれており、精度の高さがうかがえた。
 今後は、スクミリンゴガイの被害に注意しながら、生育を見守っていく予定だ。(みんなの農業広場事務局)