提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


排水不良圃場におけるごぼうの安定生産技術の実証 -自動操舵トラクタによるトレンチャー耕-(青森県十和田市)

2017年05月22日

現地実証調査実施の背景
 青森県の野菜生産は、ながいも、にんにく、ごぼう等の根菜類が主力だが、平成28年8月の台風等の大雨により、特に排水不良圃場において、ながいも、ごぼう等が根部腐敗の被害を受けた。このため、効果的な排水技術の導入が必要となっている。
 そこで、平成29年度は全国農業システム化研究会の事業を活用し、前年の被害圃場において複数の排水技術の組み合せにより、ごぼうの生育、収量及び経営等に及ぼす効果を検討することとした。
 併せて、トレンチャー耕作業及び収穫作業の効率化のための自動操舵トラクタの効果検討することとした。
なお、現地実証ほは、JA十和田おいらせの協力により、同JA農業技術センターに設置した。


現地実証調査の内容
(1)試験区の概要
 排水対策の試験区の構成については以下の通り。
 ・実証区① 額縁明渠 +全面パラソイラ処理
 ・実証区② 額縁明渠 +弾丸暗渠による通路の溝切り
 ・対照区  額縁明渠
 作業効率化については、トレンチャー耕作業及び収穫作業を、トラクタの自動操舵と手動操作での比較を行う。

(2)現地実証ほでのトレンチャー作業
 5月10日、JA十和田おいらせ農業技術センター実証圃場において、自動操舵トラクタによるトレンチャー耕の作業が行なわれた。この日は担当普及振興室、試験研究機関、JA十和田おいらせ、全農あおもり、農機メーカー等、約20名が出席した。


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左 :青森県普及関係機関、試験場、JA関係者、資機材メーカー等、約20名が出席
右 :青森県農林水産部農林水産政策課農業改良普及グループの木村一哉農業革新支援専門員による説明


<期待される効果>
 トレンチャー溝は、オペレータが前後を確認しながら作業するため、平らでまっすぐの畦をつくることは、熟練オペレータでなければ難しいと言われている。
 また、畦が蛇行すると、機械収穫で収穫物に傷をつけ、品質低下の要因となる。
 このため、自動操舵によるトレンチャー作業は、高齢化により熟練オペレータが減少する中、機械作業に多少不慣れでも直進が可能となり、作業の効率化のほか、オペレータの疲労度軽減が期待される。
 さらに、ながいもでもトレンチャー作業、機械収穫があることから、今回得られたデータは、ながいもにも活用可能と考えられる。

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左 :(株)みちのくクボタ担当者による説明。
自動操舵トラクタは、A(始点)-B(終点)地点に設定した直線を基準とし、自動で直進する機能を持つ(前進だけでなく後進も自動操舵が可能)
右 :自動操舵機能が付与されたクボタパワクロトラクタ(M110G)。2連のロータリー式トレンチャーを使用


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左 :1時間当たり400mの速度で作業をおこなう benri_movie1.jpg(動画を再生)
右 :担当普及振興室による土壌硬度測定の様子


 トレンチャー耕幅は1.2m×2連、深さは1mに設定。
 作業速度は400m/hとし、速度をやや落として土壌を締め、穴落ちを防ぐことをねらいとしている。


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左 :トラクタ内のモニターには作業や電波の状況が表示される
右 :自動操舵トラクタでの作業後は、まっすぐの畦が現れた benri_movie1.jpg(動画を再生)


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左 :熟練オペレータによる作業にも関わらず、対照区は畦が曲がってしまった


 なお、今回明らかになったこととして電波不良が作業に与える影響が挙げられる。電波が立木により妨害され、たびたび自動操舵機能が切断された。直ちに手動で復旧することができるが、事前に電波の状況を確認しておくことが必要となる。


 トレンチャー作業10日後の5月20日に、シードテープを用いた播種作業が行われた。
 今後は排水技術の効果に関する調査、生育調査や収穫物調査等を行う。周辺農家の注目度の高い自動操舵トラクタについては、実演会も予定されている。(みんなの農業広場事務局)