提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


被災地の水田復興を推進する鉄コーティング湛水直播栽培、播種実演会を開催(福島県南相馬市)

2015年05月08日

 東日本大震災による津波被災地区を抱える福島県南相馬市では、本格的な営農再開に向けて動き出したところだ。しかしながら、被災により離農せざるを得ない農家も多く、他地域以上に担い手不足が深刻化しており、担い手への農地集積による大規模水田経営を実践するための、省力・低コスト・安定生産技術の確立が急務となっている。


 そこで、福島県相双農林事務所農業振興普及部経営支援課では、関係機関と連携し、全国農業システム化研究会による飼料用米の鉄コーティング湛水直播栽培実証調査に取り組み、被災地復興と鉄コーティング湛水直播栽培技術の確立をめざした普及活動を展開することとなった。


 4月30日、やませ吹く肌寒い天気の中、播種作業実演会が開催された。福島県普及関係機関、JA関係者、資機材メーカー、生産者等、約50名の参加者が集まり、直播作業への理解を深めた。


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 :多くの参加者が播種機に関心を寄せていた
 :震災復興と技術確立への思いを伝える福島県農業振興課の本馬主任主査


 供試品種はひとめぼれ。クボタの多目的田植機「ラクエル EP8D」の植付部を「鉄まきちゃん」に交換し、8条で点播を行った。播種と同時に、側条施肥(スーパーてまいらず)・除草剤(オサキニ1キロ粒剤)も施用。実証区は1.3haという大区画圃場であったが、大きなトラブルもなく順調に作業が行われた。


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 :震災当時は津波の被害を受けた実証圃場
 :種籾は鳥害対策として「キヒゲンR-2フロアブル」を塗抹した上で鉄コーティングされる


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 :初期の雑草防除を徹底するため、播種同時除草剤として「オサキニ1キロ粒剤」を散布
 :省力化をめざし基肥一発肥料「スーパーてまいらず」を播種同時で側条に施肥をした


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 :播種作業はクボタ「ラクエル EP8D」に「鉄まきちゃん」を取り付けて実施
 :点播、除草剤散布、側条施肥、溝切りの同時作業が精度良く行われた


 今後は、適切な水管理を行い、稲1.5葉期頃に除草剤(忍フロアブル)の散布と、イネヒメハモグリバエ対策として殺虫剤(トレボン粒剤)を散布する予定だ。


 鉄コーティング湛水直播栽培のメリットは、春作業の省力化と作業分散である。実証担当農家である(有)泉ニューワールドでは、約20haの水稲作付けのうち約6haを直播栽培に切り替え、繁忙期の作業分散を図る。相双農林事務所農業振興普及部経営支援課では、実証調査結果を分析し、移植と直播の組み合わせで規模拡大や収益性向上が図れるか、経営的なメリットを検証していく計画だ。
 鉄コーティング湛水直播栽培は、被災地の水田農業復興を推進する技術として、大きな期待が寄せられている。(みんなの農業広場事務局)