提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


難題を抱える地区でのキャベツ栽培の実証調査が始まる(長野県軽井沢町)

2012年06月14日

 耕作放棄、獣害、連続降雨や集中豪雨、さまざまな難問題を抱える地区で、キャベツの省力・低コスト・安定生産への取り組みが始まった。

 リゾート地として長い歴史を持つ軽井沢町は、標高約900mの冷涼な気候を活かした高原野菜の産地としても名を馳せる。しかしながら、町内すべての地区で順調な生産ができているわけではない。同町上発地地区では、約70haの水田転換畑があるが、排水性が悪く、湿害による生育不良に頭を悩ませている。もともと沼地であった場所を水田化した湿田であり、転作を期に、徐々に耕作放棄地も増えていった。さらに、近年はシカ等の獣害、梅雨時期の連続降雨や集中豪雨による滞水等の発生により、安定生産に悪影響を及ぼしている。

 圃場を再生し、獣害を防ぎつつ、安定的な生産技術を確立するため、佐久農業改良普及センターでは、平成24年度から全国農業システム化研究会実証調査事業に取り組んでいる。

 6月6日(水)、雨上がりの肌寒い天候の中、キャベツ実証調査の現地実演会が開催された。


●圃場の再生作業
 耕地の半分以上が耕作放棄地と化している当地では、圃場の再生が急務となっている。作付放棄され、アシが繁茂している圃場をよみがえらせるために、クボタeプロジェクト事業も活用している。

 再生のための作業としては、①アシ刈り、②水路の泥上げ、③弾丸暗渠の施工が必要だ。
 当日は、草刈り作業機(オフセットシュレッダー)によるアシ刈りの作業実演が行われた。
 なお、実証調査の中では、レーザーレベラーによる圃場の傾斜化を行い、排水対策効果の違いを検証することになっている。


  
 :耕作放棄されアシだらけになった圃場
 :オフセットシュレッダーによりアシは細かく粉砕される 


●畝立て同時畝内施肥作業
 省力・低コスト化技術として、畝立て同時畝内施肥作業の実演を行った。畝内全層、畝内局所の2種類の施肥方法を比較検討する。


  
 :畝内施肥機の説明を聞く参加者
 :車速連動で精度の高い施肥が可能 


●全自動移植機による移植作業
 悪条件圃場でも高精度に効率的な作業ができる、全自動移植機(パワクロベジータ)による、キャベツの移植作業も実演した。


  

 :全自動移植機の説明に参加者の注目が集まる
 :全自動移植機によるキャベツの移植作業


●鳥獣害防止用簡易フェンスの設置
 シカ等の獣害対策資材の検証として、簡易フェンス(いのしかクン)の設置も行った。いのしかクンはエキスパンドメタルと呼ばれる素材を使った、メッシュ状の軽量なフェンスだ。高強度で錆びにくく、施工が簡単にできるのが特徴で、すでに長野県内でも多くの導入実績があるという。施工コストを抑えることで、トータルの導入経費を削減できる。


  
 :簡易フェンスの設置作業
 :約2mの高さのフェンスを圃場周囲に張り巡らす


 当日は、多くの生産者が見学に訪れ、今回の実証が、地区内でいかに注目されているかがうかがい知れた。関東甲信地方は6月9日に梅雨入りをしたが、本格的な梅雨を迎え、さまざまな排水対策技術の効果に期待が寄せられている。(みんなの農業広場事務局)