提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


田畑の高度利用を目指した効率的安定生産技術に関する現地検討会が開催される(鹿児島県鹿屋市)

2011年08月05日

 7月14~16日、鹿児島県農業開発総合センター大隅支場において、全国農業システム化研究会による「田畑の高度利用を目指した効率的安定生産技術に関する現地検討会」が開催された。

 全国農業システム化研究会では、新しい作業技術の開発や、省力低コスト生産を可能にする一工程作業等をおもなテーマに各地で実証調査を進めている。鹿児島県農業開発総合センター大隅支場では、今年度、セミクローラ型トラクタの作業性能の調査、耕盤修復技術の実証調査等を行っている。


<室内検討会>
 14日午前には室内検討会が行われた。

 溜池 雄志氏(鹿児島県農業開発総合センター大隅支場機械研究室)から、「セミクローラ型トラクタの作業性能について」の報告があった。



 セミクローラ型トラクタの実用化により、その機能を活かした農作業の高度化が進行しているが、畑作への適応性に関して、未解明な点が多いことから、①各種畑作業における所要動力と作業能率、②主要作業における作業限界降雨量の検討を行っている。

「セミクローラ型トラクタはホイール型と比較して走行安定性が高く、負荷による加速度やスリップ率の変動が小さくPTO軸動力が少ない。また、降雨後の作業可能日数が多くなるため、作業可能面積が増えることなどがわかった」


 ひきつづいて、溜池氏から「水田輪作体系における耕盤修復技術について」の報告があった。


 田畑輪換による水田の高度利用について、畑作物・露地野菜の安定生産のため、耕盤破砕は有効だが、復田時の漏水、田植機の作業性に問題が残されていることから、セミクローラ型トラクタの耕盤修復性能について、ブロックローテーションを行う大区画ほ場整備地区で実証を行い、水田輪作体系への適応性を検討している。

「大規模田畑輪換ほ場(サツマイモ→キャベツ→水稲)において、耕盤破砕を行うことで排水性が改善され、サツマイモの品質が向上。また、キャベツ生産後、水田に復元するため、セミクローラ型トラクタを使っての均平耕うん、カルチパッカによる踏圧、ドライブハローによる代かきで耕盤が修復され、安定した田植えが可能となった。今後は減水深、水稲の収量・品質等を調査する予定」


 馬門 克明氏(鹿児島県農業開発総合センター大隅支場機械研究室)からは、「畦内同時施肥・施薬技術について」の報告があった。



 近年の資材高騰などの背景から、低コスト化に対応した新規資材(肥料入り農薬)と、新規資材を効率的に散布できる施用技術の開発を行っている。試験内容は以下の通り。
①サツマイモのコガネムシ類に対する新規資材の効果検証
②サツマイモの畦立時の散布方法の違いによる肥料・薬剤の分布状況とコガネムシ類に対する防除効果の確認
③車速連動型肥料散布機のサツマイモ畦立同時施肥に対する適応性

「サツマイモの畦立時の薬剤散布方法は、全面全層散布(散布後耕うんあり)が最も分布が均一で、コガネムシ類に対する防除効果も向上する傾向がみられた。車速連動肥料散布機については散布精度が高く、サツマイモの畦立同時施肥技術として利用可能であることがわかった」


<現地検討会>
 その後の現地検討会では、それぞれのテーマに分かれ、機械作業の実演と展示が行われた。

●計画作業推進のための作業技術に関する実演・展示


トラクタ所要動力の測定



降雨後の悪条件ほ場での耕起作業
水分の多い土壌では、ホイール型トラクタはスリップして止まってしまったが、セミクローラ型トラクタは問題なく走行・耕起をおこなうことができた。



軟弱地における運搬作業


●耕盤の破砕・修復技術の活用による生産基盤作りに関する実演


レーザーレベラを使用した水田の耕盤の均平作業



耕盤破砕を行った圃場(畑)の耕盤を修復
かん水後に代かきをおこなった


●野菜の省力・低コスト生産のための畦立同時施肥技術に関する実演


車速連動型施肥機(前)と通常の施肥機(後)の散布精度を比較。
車速連動型は走行速度に関係なく肥料が均一に散布されることがよくわかる


●効率的生産技術に関する実演等


鉄コーティング播種機の実演。点播のようすを紹介



中耕除草。
機械除草のスピードに、参加者から驚きの声が上がる


 開催3日間の参加者は、普及指導員、JA、市町村、生産者など、約1,000名にのぼり、さまざまな機械の展示や作業のようすを熱心に見て回った。(みんなの農業広場事務局)


※関連リンク
水田輪作体系における耕盤修復技術の実証圃で田植作業を実施
水田転作体系における耕盤修復技術の実証