提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


新規需要米に関する現地検討・研修会を開催(新潟県上越市)

2010年10月01日

 米粉用米、飼料米等の新規需要米への取り組みが本格化する中、全国農業システム化研究会では9月27~28日、新潟県上越市において「新規需要米に関する現地検討・研修会」を開催(新潟県との共催)した。新規需要米を担当する全国の普及指導員、農業機械メーカー、農薬メーカー等関係者約110名が参加し、先進地新潟県の取り組みや最新の技術を学んだ。


<現地検討会>

○バイオプラスチック工場見学
 アグリフューチャー・じょうえつ(株)では、生物由来の原料からプラスチック製品を製造している。米や籾殻等の原料の性質を利用して「アグリウッド」と呼ばれるバイオマスプラスチック(チップ状)から、ゴミ袋、箸、コップ等のプラスチック製品が生まれてくる。ゴミ袋や箸等はすでに実用化されているが、将来的には、生分解性を活かした黒マルチや育苗箱なども有望視されている。
原料コスト、流通コスト等の問題から、地域にある原料によって製品が地域で作られ、地域で使われる「地産地消」、「地域内活用」が必須であるという。


  
 :アグリフューチャー・じょうえつ大野社長による説明 
 :ゴミ袋は上越市で採用されている


  
 :バイオプラスチック製品の数々 /  :籾殻由来の箸


○多収穫品種の育成状況視察
 (独)農業・食品産業技術総合研究機構北陸研究センターで、多収穫米品種の試験圃場を見学した。多収穫米は一般食用品種に比べて稲姿が大振りで、穂長は30cmにもなる。品種はなつあおば、ゆめさかり、夢あおば、北陸193号など。


○新規需要米現地圃場見学
 上越農業普及指導センター管内の農事組合法人上広田代表・丸山正法氏の圃場109aでは、バイオエタノール用水稲栽培の実証が行われている。北陸193号による多収穫栽培を実現しつつ、防除を最小限にして、いかにコストを抑えるかの試験である。収穫は、開発中の多収穫米に対応するコンバインで、10月中旬に行われる予定だ。


  
 :新規需要米現地圃の見学/  :北陸センターで圃場の見学


<室内検討会>

 3人の講師による講演と質疑が行われ、最後に総合検討がなされた。


  
 :総合検討会 /  :左は司会の齋藤氏


●新規需要米の全国的な状況および栽培技術について(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 北陸研究センター北陸大規模水田作研究チーム長 松村 修氏)

 北陸193号の特徴と多収穫米としての可能性や利点、欠点等について報告された。新規需要米栽培には、生産コストを下げる栽培技術とともに、地域に合った多収品種を用いる、窒素施肥量を増す、地域の気象を有効活用する、多収を狙うほど土壌の適性管理が重要、等の話があった。


●新潟県における新規需要米の取組状況および省力・低コスト・多収穫栽培技術について(新潟県農林水産部経営普及課副参事 鈴木 信氏)

 新潟県では、平成17年度からバイオエタノール活用の取り組み実績がある。その上で、「R10プロジェクト」(小麦粉消費量の10%以上を米粉に置き換える)に県を挙げて取り組んでおり、多収穫米栽培、利用の先進地である。今年度の作付面積は米粉用米1700ha、飼料用米860haを超える見込み。
 多収性品種の実証は、バイオエタノール原料用イネの密播疎植、鉄コーティング直播、立毛・ハウス乾燥と、米粉用イネの密播疎植、鉄コーティング直播、田植同時施薬などの低コスト栽培技術について、報告があった。品種は、夢あおば、北陸193号、タカナリ、こしのめんじまんなど。


  
 :北陸研究センター北陸大規模水田作研究チーム長 松村修氏
 :新潟県農林水産部経営普及課副参事 鈴木 信氏


●JAの新規需要米取り組み状況について(JAえちご上越営農生活部部長 佐藤 修一氏)

 生産調整での転作作物のひとつとして、多収穫米栽培を進めている状況が報告された。また、飼料用米では売り先の確保が必須となるため、畜産農家とのマッチングにも取り組み、飼料用もみ米を県外の養鶏業者に販売している事例が紹介された。


  
 :JAえちご上越営農生活部部長 佐藤 修一氏
 :検討会場の様子


 最後に、品種の選定、種の確保を含む生産体制作りの必要性、多収のための病害虫対策、多収米に対応するコンバインの性能、販路の問題等が検討された。(みんなの農業広場事務局)