提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


急傾斜地(8~12度)でも精度はバッチリ!(岩手県岩手町)

2010年06月15日

-パワクロベジータ(キャベツ用)移植機と車速連動畦内施肥機-


 露地野菜栽培農家の規模拡大が続く中、急傾斜地に対応した機械化作業体系の確立が望まれているが、最大のネックは「耕耘+施肥+畦立て」同時作業時の畦立て・施肥の精度と、移植機の登り下りの際に植え付け精度に大きな差がでることだ。


 大規模栽培農家が多く、しかも傾斜地圃場を多く抱えている岩手県の県北地域の岩手町で、これら作業の精度・肥料の効率的施用、管理作業の軽労化等に関する現地実証試験が始まった。
 この実証試験は全国農業システム化研究会「野菜の省力・低コスト・安定生産技術に関する実証調査事業」の一環で、平成21年度から岩手県八幡平農業農業改良普及センターで取り組んでいるものである。
右 :傾斜地での作業(車速連動施肥+畦立て+パワクロ) 


 平成21年度は比較的傾斜度の低い圃場で、①「施肥、耕起、畦立て(畦内施肥機利用)」の一工程作業の施肥精度と能率並びに肥料代の低減効果、②移植機の植え付け精度と能率、生育等 について調査した。


●畦内施肥
①畦内には、ほぼ予想通りに肥料が分布しており、畦間への肥料分布はほとんどみられない。
②畦内にのみ肥料が施用されるため、畦間の雑草発生量が慣行の約半分に抑えられた。
③慣行の施肥設計の35%の減肥を行っても、収穫期を慣行よりやや遅らせることで、慣行と同等の収量を確保が可能。
④慣行の作業体系と比較して施肥、耕起、畦立て作業を一工程で行えるため、労働時間を0.7時間/10aから0.3時間/10aに短縮できた。


  
 :畦内施肥装置 /  :畦内施肥試験:土壌採取 


●パワクロ移植機
①従来の移植より横滑り、横ずれ等が少ない。
②植え付け深さ、株間を自動設定できるため、精度の高い移植作業が可能。
③手植え作業では4時間/10aかかるところが、2.1時間/10aに短縮できた。操縦性に優れるため連続作業も可能であり、労働性が改善された。

 今年はより厳しい条件下(傾斜地:8~12度)で、これら作業の精度・能率並びにキャベツの生育等についての実証試験を行う。


●施肥、耕起、畦立て (一工程作業 :車速連動の畦内施肥機を使用)
 傾斜度が5~12度と一定でないため、車速がそのつど大きく変化するが、車速連動の畦内施肥機を利用したところ、斜度、速度にかかわらず精度の高い施肥作業ができた。



傾斜地での作業(車速連動施肥+畦立て+パワクロ)


●移植機 (パワクロベジータを使用)
 急傾斜での登り、下り移植を調査したが、登り・下りとも株間・移植姿勢等、非常に精度が高かった。


傾斜地での移植作業(パワクロベジータ)


●新型殺虫剤のセル苗への灌注方法
 昨秋登録された新しいタイプの殺虫剤(プレバソン)の効率的な灌注方法について、時間当たり500トレイを処理できる装置の試作機を使用。
 手散布に比べ、精度・能率等がはるかに優れていることが実証された。


  
農薬灌注試験(500cc/1セルトレイ)。機械散布()と手散布(


 今後、八幡平農業農業改良普及センターにおいて生育・収量等の細かな調査を行い、秋には成果が発表される。(みんなの農業広場事務局)