提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


先進県"宮崎方式"に学ぶ 総合病害虫防除 その2

2009年05月13日

2007年12月の記事「IPM技術に関わる現地視察・研修会(宮崎県)」レポートにおいて、宮崎県のIPM(総合的病害虫管理)取組状況を紹介したが、再び宮崎県を訪れる機会があったので、近況をレポートする。


◆IPMからICMへ
 宮崎県のIPM技術で特徴的なのは、生物農薬の3階建て方式。1階の微生物殺菌剤、2階の昆虫寄生菌、3階の天敵と、徐々に難易度を上げてステップアップしていく方式を採用していることは全国的によく知られている。が、意外と忘れられているのが、この3階建て住宅の基礎部分。

 最も基礎となる、この重要な技術のポイント、それは、適正施肥と土作り、そして適正灌水の徹底だ。「健全な植物体であれば病害虫に強くなり、また、収量品質もよくなる」と語るのは宮崎県農政水産部営農支援課の黒木修一広域担当普及指導員。IPM(総合的病害虫管理)の考え方から、栽培管理も含めたICM(総合的作物管理)へと発展させ、さらには環境保全型の技術を使った持続的農業を目指している。指導資料としてのICMの技術マニュアルも整備している。


  
宮崎県では平成19年度に「リアルタイム診断法編」(左)を平成20年度に「微生物農薬編」(右)を作成


基礎技術を徹底した栽培管理により病害虫に強い元気なキュウリが育っていた


◆"普及"技術の確立
 難防除病害虫対策は、「全員ができる技術」でなければならない。宮崎県では、100%の成功と、現状以上の収益、現状以下のコストを目指し、誰でも導入できる普及技術の確立に取り組んでいる。このような活動が、施設園芸での微生物殺菌剤、昆虫寄生菌剤の利用量全国1位の実績に現れている。

 既存技術のちょっとした工夫から最新の天敵導入まで、様々な取組がなされているが、現地ほ場での取組の一部を以下に紹介する。


「改良型ククメリスカップ」
 キュウリのアザミウマ類防除に使われる、ククメリスカブリダニは、ククメリスカップの中に籾殻やフスマ等を入れて、放飼・定着をさせることが多いが、宮崎県では、独自の形状をした改良型ククメリスカップを使っている。カップの設置位置も、天敵の効果が最適になるよう、高さを工夫している。


  
 :従来型ククメリスカップ /  :改良型ククメリスカップ
改良型は、天敵が定着しやすく、また設置状態も安定している。


「粘着トラップがない!?」
 IPMの基本と思われる、害虫の発生予察等にも用いられる粘着版が、ハウス内に見あたらない。農家にとって精神衛生上良くない、害虫を数えることが仕事ではない、栽培に専念できなくなる等の理由から、粘着版の設置には消極的だ。


  
:キュウリ農家ほ場 /  :ナス農家ほ場
どちらのハウスにも粘着版が設置されていない


「スワルスキーカブリダニの導入」
 昨年新規登録されたスワルスキーカブリダニは、アザミウマ類やコナジラミ類を捕食する多食性天敵だ。ナスやキュウリの農家で、試験的に導入され、防除効果の高さが実証されていた。(みんなの農業広場事務局)


  

 :スワルスキーカブリダニの放飼試験 /  :スワルスキーカブリダニ(提供 :アリスタライフサイエンス株式会社)


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