栄養価の高い「奈川そば」で地域おこし(長野県松本市)
2007年05月07日
遊休農地対策で機械化一貫体系導入、「奈川そば」ブランド化で地域活性化を!
活動の背景とねらい
松本市奈川地区は標高1100mの中山間地にあり、風味の良さで評価の高いソバの生産地である。しかし、農業者の高齢化や、鳥獣害被害の増加、及び遊休荒廃地の拡大が深刻化している。
これに歯止めをかけるため、平成18年3月、奈川地区ソバ生産者、観光協会に加盟する旅館業者約170人、約20団体が連携し、地元産そばの品質向上とブランド化をめざして、「奈川そば振興組合」を設立した。
生産者、利用者(需用者)、機械化の3部会が、それぞれソバの品質向上、そば打ちや販売促進、生産の効率化に取り組んでいる。
機械化一貫体系の検討
平成18年度は、組合設立初年目として、(株)長野クボタソリューション事業部の支援により現地実証を行なった。
(1)遊休荒廃地の復元
(2)省力機械体系の検討
(3)夏ソバ+秋ソバの2期作試験、品種試験
に取り組んだ。
活動の成果
(1)遊休荒廃地復元
(2)省力機械体系検討
播種作業の地域慣行は、散播、条播であった。
省力化のため、ロータリーシーダーの実演会を実施し、作業性、収量性の検討を行い、県単補助事業を活用し、トラクターとロータリーシーダーの導入を行った。
農業者の高齢化で、コンバイン収穫への作業受託が急増している。
(3)夏ソバ+秋ソバの二期作試験、品種試験
1)二期作品種試験結果(標高1,100m夢の森下ほ場)
早生品種の組合せによって、標高1,100m地帯まで、二期作の作付けが可能であると実証できた。
台風による気象災害を受けやすい秋そばだけでなく、夏そばの作付けを拡大することで、農地の有効活用とあわせて地区内産玄ソバの安定生産を進める。
2)奈川産夏そばの高付加価値化(品質評価の実施)
ルチン含量・遊離アミノ酸含量については栄養素における重要なデータであり、数値が高いほど品質がよいとして扱える。奈川産の夏そばにおいては、一般的な秋そばよりも栄養価が高いと判断することができる。
また、ルチン含量・遊離アミノ酸含量は味にも影響を与えるとされている。奈川産のそばは、これらの数値が高いため、味が強いと取ることができる。
反面、ルチン等は苦味が強いという特性もあり、野性味が強い田舎風そばの味になると評価を受けた。
今後は利用部会を中心に、この評価をさらにPRして、ブランド化を進めていく。
問題点と今後の課題
奈川そば振興組合の設立により、地域住民が主体となり「奈川おらとのそば」のブランド化に向けた気運が高まっている。
一方、農業従事者の高齢化、有害鳥獣の深刻被害、連作ほ場の地力の低下、機械装備の老朽化等の課題も多い。継続して、高品質安定生産技術の導入、省力機械化一貫体系の導入をすすめる。
(長野県松本農業改良普及センター 松崎あけ美)




