提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


野菜

キャベツ栽培における化学肥料低減と省力化技術 (岩手県・平成21年度)

背景と取組みのねらい

 岩手町のキャベツ生産者は減少傾向にあるものの、後継者就農、雇用労働力および海外研修生制度の活用により、規模拡大を図る生産者が増加し、作付面積、販売額を伸ばしている。このことから産地の重要な牽引役である大規模経営体に対応した生産技術の確立が求められている。

 労働力の効率的活用を図るため、移植、除草の作業体系を機械化することにより管理作業の軽労化を行う。また、肥料の効率的施用方法、有機物資源の効率的散布方法等の検討を行うことにより、低コスト化と、環境保全型農業の推進を図る。

実証した作業体系(作業名と使用機械)


作業別の能率と効果

施肥+耕うん+うね立て 能率と効果
 
うね立て同時うね内施肥機

施肥、耕起、うね立てを1工程で行えるため、作業時間を0.7時間/10aから0.3~0.5時間/10aに短縮できた。
また、うね立て同時うね内施肥により、慣行対比35%~50%の減肥を行っても、慣行と同等の収量を確保することが可能であった。
ただし、収穫適期がやや遅れることや、畑の成熟が進んでいない圃場では、減収する恐れが考えられるため、畑の成熟度に応じた減肥率を設定することが必要と考えられる。

うね間の部分では、雑草発生量を従来の約半分~半分以下に抑えることができた。
これはうね内部分施肥により、うね間に余分の余分な肥料が抑えられたことが、うね間の雑草発生量の減少に繋がったと考えられる。

移植 能率と効果
 
パワクロ全自動移植機


横滑り、横ずれ等が少ないことから、精度の高い定植作業が可能、少ない人数で作業が可能であった。少ない人数で作業が可能なことなどから、農家の評価が高かった。

また手植えで4時間/10aかかる作業時間を1.2時間に短縮でき、労働負荷も低いことから、労働性の改善が期待される。

 

 
雑草防除 能率と効果

 

除草カルチ


カルチベータと数種類のレーキを組み合わせた除草カルチは、うね間、株間の機械除草が可能で、従来4.5時間/10aかかっていた除草作業を0.6時間/10aに短縮でき、労働負荷も低減できることが明らかとなった。

 

 
土壌改良剤散布 能率と効果

 

有機マルチソワー


タンク容量が800Lと大きく、1回の詰め込みで散布できる面積が大きいため、ha単位の圃場が多い管内では、比重の軽い豚ふん堆肥などの有機物資材を散布するには適していると考えられる。

成果

 減価償却費等の経費が増加しても、労働時間の短縮による雇用費削減、資材費削減により、純収益は慣行体系とほぼ同等となり、軽労化評価を加えると、純収益はさらに向上する。 

うね立て同時うね内施肥の作業時間

実証区① うね立て同時うね内施肥(窒素成分35%減肥)
実証区② うね立て同時うね内施肥(窒素成分50%減肥)
実証区③ 豚ふん堆肥全面施用+うね立て同時うね内施肥(硫安のみ施肥、窒素成分35%減肥)


自動移植機の作業時間


除草カルチを用いた除草体系の作業時間


 うね立て同時うね内施肥機、牽引式半自動移植機、有機マルチソワー等の作業機械の使用において、傾斜地の多い管内圃場では、上り下りでの均一および精密な作動を行うために、クローラタイプトラクタの導入は不可欠である。 

対象場所

岩手県岩手郡岩手町

sys_kyabetsu_iwate_map_s.jpg
 

 
 岩手町は盛岡市の北側に面し、奥羽山脈、北上山地に挟まれた内陸地で、キャベツ、ダイコン、長いも、露地ピーマンを始めとする露地野菜栽培が盛んな、県内有数の野菜の総合産地となっている。平坦地が少ないため、野菜においては、傾斜地での作付が多いのが特徴。また、酪農、肉牛、養豚、鶏などの畜産業が盛んで、畜産側から出た有機物資源を野菜栽培に活用する構畜連携の取り組みが進んでいる。


(平成21年度 岩手県八幡平農業改良普及センター岩手駐在・中央農業改良普及センター)

(画像をクリックすると大きく表示されます)