提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


野菜

長ネギの規模別主要機械化体系 (青森県・平成16年度)

背景と取組みのねらい

 青森県十和田市では、夏ネギの単価が比較的高いため、作付拡大を進めている。チェーンポット苗定植体系が定着し、省力化に寄与しているものの、収穫・調製作業等が作付面積を制約し、作付けが多い農家でも30a前後にとどまっていた。

 そこで、長ネギ栽培における作付規模別の機械化体系について実証し、その成果を提案することで、産地の規模拡大に貢献することをねらいとした。

実証した作業体系

 

作業別の能率と効果(小規模(慣行))

1.植付溝掘り 能率と効果
 
歩行型管理機

10a当たり作業時間は1.6時間である。1畦当たり2~3回走行する必要がある。溝底はやや硬くなりやすい。当該作業は、軽労化評価の疲労度ではネギ栽培の中で最大である。 

●型式 :
FTN7

●仕様 :
畦幅 110cm
溝幅 25cm
深さ 30cm


2.定植 能率と効果
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ひっぱりくん

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スーパーひっぱりくん


10a当たり作業時間は「ひっぱりくん」による定植では2.0時間、「スーパーひっぱりくん」では2.4時間である。「スーパーひっぱりくん」は紙筒を巻き取りながら定植していくことから、紙筒による根の伸長抑制がみられないせいか、比較的初期生育がよい傾向がある。しかし、機械そのものが重く、軽労化評価では疲労度が「ひっぱりくん」の2倍となる。 

●型式 :
ひっぱりくん HP6
スーパーひっぱりくん BPS100

●仕様 : 
ひっぱりくん HP6
1穴当たり2・3粒交互播きで育苗 株間 5cm

スーパーひっぱりくん BPS100
1穴当たり4粒播きで育苗 株間 10cm



3.培土 能率と効果
 
歩行型管理機

 
歩行型管理機は、乗用管理機よりは培土作業にやや時間がかかるものの、培土の精度や茎葉の損傷等からみると、規模にかかわらず実用性がある。

●型式等 : 
FTN7(6.2PS)

●仕様等 :
培土1回目:定植後、ねぎが8~10mm/時
培土2回目:その20日後頃
培土3回目:その後は25日前後の間隔
最終培土 :収穫30日前頃
培土は分岐点から1cmほど下まで行う。ただし、最後は、分岐点の5cm位上までとする。 


4.防除 能率と効果
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動力噴霧機


10a当たり作業時間は12時間である。2人での組作業となる。当該作業は、軽労化評価の疲労度ではネギ栽培の中で歩行型管理機による植溝掘り作業と同じく最大である。 

●型式 :
MS413B

●仕様 : 
U字型のネギ噴口等を用いて、地際部まで丁寧に散布可能である。


5.収穫 能率と効果
 
長ネギ掘取機

10a当たり作業時間は32.3時間である。掘取機はネギの根を切り、その場に倒していくだけであり、その後の回収作業に労力がかかる。軽労化評価の疲労度も比較的大きい。 

●型式 : 
TNW-20

●仕様 :
ネギ堀取り後の回収作業は中腰姿勢が続くため、重労働である。回収作業者の労力軽減のために「収穫キャリア DN300」もある。いずれも1畦ずつ収穫していくため畦の高さや幅は問わない。


6.皮むき調製 能率と効果

 
皮むき機(クイックペラー)


調整


10a当たり作業時間は3人体制で181.8時間である。皮むきは2人で116.4時間、根切り・葉切りは1人で65.4時間となる。

●型式 :
クイックペラー MST他

●仕様 :
皮むき調製作業をいかに省力化・軽労化できるかで作付規模が決まるといっても過言ではない。軽労化評価の疲労度でも2番目に大きい。

作業別の能率と効果(中・大規模)

1.植付溝掘り 能率と効果

 
移植床畦成形機
(同時施肥装置付)

管理機よりも深く、2畦同時に畦立てできる。10a当たり作業時間は0.8時間で、2回以上歩く必要がある管理機の50%と、かなりの省力化につながる。軽労化評価すると疲労度は管理機の1/20。

2.定植 能率と効果
 半自動移植機
半自動移植機
(手植え用苗を使用)

全自動移植機
全自動移植機
(箱育苗苗を使用)


ペーパーポット代がかからない。10a当たり作業時間は1.4時間で、慣行(ひっぱりくんでの定植)と比べ、30%の省力となる。軽労化評価をすると、疲労度はひっぱりくんの1/4となった。

●型式 :
全自動移植機 VP-100

●仕様 :
株間 8cm
1穴2粒播きの場合は株間5cm


3.培土 能率と効果
 
歩行型管理機


大規模 :乗用管理機
※省力化・軽労化重視の場合

 
歩行型管理機は、乗用管理機よりは培土作業にやや時間がかかるものの、培土の精度や茎葉の損傷等からみると、規模にかかわらず実用性がある。
乗用管理機は、大規模体系の場合で省力化・軽労化重視の場合に限り、検討の余地がある。

●型式等 : 
歩行型管理機 FTN7(6.2PS)
乗用管理機 MSR-1150N

●仕様等 :
培土1回目:定植後、ねぎが8~10mm/時
培土2回目:その20日後頃
培土3回目:その後は25日前後の間隔
最終培土 :収穫30日前頃
培土は分岐点から1cmほど下まで行う。ただし、最後は、分岐点の5cm位上までとする。 


4.防除 能率と効果
 
小・中規模 :
自走式ラジコン動噴
※1人で手散布した場合


中規模 :マルチスプレーヤ


大規模 :ブームスプレーヤ
(高床式)

10a当たり作業時間(6回散布)と軽労化評価の疲労度は次のとおり。
・動力噴霧器 12時間(疲労度:100)
・自走式ラジコン動噴 2.3時間(60)
・マルチスプレーヤ 2.0時間(15)
・ブームスプレーヤ(高床式) 1.1時間(10)

自走式ラジコン動噴は、1人で作業ができ、ホースも自動まきとりができる。
マルチスプレーヤは、作業は楽だが、タンクに農薬を汲む時間がかかる。農薬のかかりは良い。
ブームスプレーヤ(高床式)は、1人で作業ができる。畦をまたいで防除出来るので、通路をとる必要がない。ただし、移動が不便なので、小面積で数カ所畑がある場合は適さない。

●型式 :
自走式ラジコン動噴 MSA413R-3-M/K
マルチスプレーヤ MSA40H-150
ブームスプレーヤ(高床式) BST-300C

●仕様 :
圃場作業量(ha/時)
自走式ラジコン動噴       0.26
マルチスプレーヤ         0.30
ブームスプレーヤ(高床式)   0.53 



5.収穫 能率と効果
 
自走式収穫機

作業姿勢が楽で、葉折れが無い。10a当たり作業時間は38.4時間で、慣行の掘取機よりも1.2倍多くなるが、軽労化評価の疲労度は慣行の1/3となる。  
 
●型式 : 
ソフィHG100K 

●仕様 :
掘取り幅 400mm
適応うね高さ 300~500mm(1条植え)
適応うね間 750mm以上(1条植え)

この自走式収穫期は、省力化ではなく、まさに軽労化のための機械である。


6.皮むき調製 能率と効果

 
半自動調製機


10a当たり作業時間は58.2時間で、慣行の30%となる。軽労化評価の疲労度は、慣行の約1/2となる。  

●型式 :
ベストロボ MB-1D

●仕様 :
作業能率 
900本/時(5.5kW)、
1200本/時(7.5kW)

軽労化とともに、省力効果が大きい。 
 
7.選別 能率と効果
 
大規模 :選別機

太さで選別できるため、バラツキがない。10a当たり作業時間は22.3時間で慣行の30%、軽労化評価の疲労度は、慣行の約1/5となる。
 
●型式 : 
チョイサー MN-103

●仕様 :
選別段階 5段
作業能率 3600本/時

大規模向け。省力化、軽労化ともに効果あり


成果

機械化体系規模別の収益・経費等を比較すると、以下のとおりとなった。

 
※1
大規模では選別機等を導入しているが、面積が大きいため、中規模よりも費用が低く抑えられた。固定費=(減価償却費+修繕費)


 10a当たりの純収益で評価した場合、中規模体系を導入する目安となる面積は78a以上である。大規模体系を導入する目安も同様に78a以上となった。
 なお、軽労化評価を行うと、中規模体系では63a以上、大規模体系では70a以上で導入を検討してもよいという結果となった。

 いずれにしても実面積当たりの所得は、面積拡大につながることから明らかに慣行の小規模体系より中規模や大規模体系の方が大きくなることが明らかとなった。
 


 JA十和田おいらせにおけるネギの産地規模は、平成15年度で面積69ha、農家数220戸、1戸当たり31a。平成20年度は78ha、196戸、40aで、やや拡大傾向となっている。実証機械の導入も補助事業の活用等で徐々に進んできており、1戸で1.5ha規模の農家も現われている。

対象場所

青森県十和田市


 

 
 青森県十和田市は、青森県の東南内陸部に位置している。夏期は「やませ」と言われる冷たい偏東風が太平洋側から吹きつけ、低温と曇りの日が多い。冬期は西から北西の季節風が強くなり、冷え込みの厳しい晴天の日が多い。

 昭和25年頃から開田が進み、県下一の水田地帯となったが、米の生産調整もあって、水稲+野菜、水稲+畜産等の複合経営が進み、現在はにんにく、ながいも、ねぎでは県内有数の生産地域となっている。  このうち、ネギは栽培面積が78ha(H20.JA扱い)と県内で最も多く、葉の緑と茎の白のコントラストがはっきりしていることから、「ぼけしらず」のブランド名で販売され、市場からも高い評価を得ている。 

(平成16年度 青森県上北地方農林水産事務所十和田地域農業改良普及センター、現青森県上北地域県民局地域農林水産部農業改良普及指導室)

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